SEO(Search Engine Optimization: 検索エンジン最適化)とは、自社のページが検索結果で上位表示されるようにウェブサイトの内外を改善する取り組みです。このSEO実践ガイドでは、主に中小企業を対象に、SEOの意味や仕組みから自分で実施する方法までをわかりやすく解説します。
目次
SEO(検索エンジン最適化)の意味
SEO(Search Engine Optimization: 検索エンジン最適化)とは、あなたの会社のウェブページがGoogleやBingなどの検索結果で上位に表示されるようにウェブサイトの内外を改善する取り組みです。その目的は、あなたの事業に関連するキーワードで検索している見込み客を無料で集客することです。SEOの重要なポイントは次の2点です。
- 実際のユーザーから良好な反応を引き出す — ユーザーが検索する目的を達成できる独自で高品質なコンテンツを作成し、実際のユーザーの検索意図を満足させ、良好なユーザー行動や指名検索を獲得する。
- サイト外部の第三者から高く評価される — コンテンツや、その作成者や、コンテンツを掲載するサイトについて、被リンクや言及や評判など外部の第三者から高い評価を得る。
検索エンジンは上記のそれぞれが発するシグナルを受け取り、検索結果の順位を決定します。ごく簡単に言えば、SEOの実践において私たちがすべきことは実際のユーザーが選択し、満足し、話題にし、高く評価するサイトを運営することです。この意味でSEOは何ら特別なものではなく、ごく普通の商売の延長線上にあるものです。
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SEOのシンプルな本質
SEOのごくシンプルな本質は「検索ユーザーの目的を達成させること」です。検索ユーザーの個々の検索の背後には、そのユーザーが達成したい目的があります。あなたはその目的を最も的確に達成できるコンテンツを提供します。あなたが持つ専門知識や経験を活かして最高のコンテンツを用意しましょう。

- ユーザーの目的が「あることについて知りたい」というものなら、あなたの専門知識や経験を活かしてどこよりも正確で詳しくわかりやすいオリジナルの回答を提供しましょう。
- ユーザーの目的が「あるものを買いたい」というものなら、どこよりも安全にスムーズに買えるようにサイト全体を最適化しましょう。
SEOに影響を与える要因
SEOに影響する要因は大別すると3種類あり、ウェブサイト内部の最適化であるオンページ要因、ウェブサイト外部からの評価であるオフページ要因、そして実際のユーザーによる評価であるユーザー行動要因です。SEOではこれらのそれぞれに働きかけ、適切な状態へと最適化していきます。
要因 | 最適化された状態 |
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オンページ要因 | そのトピックについての著名な専門家によって作られた多くの良質なコンテンツが、わかりやすく検索エンジンフレンドリーなデザインやナビゲーションで提供され、クローラーにもアクセシブルに設計されている。 |
オフページ要因 | ウェブページやサイトが人々から高く評価されていることを示すシグナルとして、被リンク(権威性・信頼性)、サイテーション(知名度)、レピュテーション(評判)などがサイト外部に多く存在している。 |
ユーザー行動要因 | 検索結果上でのクリック率の高さや、ページを訪問したユーザーが検索結果に戻ってくる割合の低さなど、実際のユーザーが高く評価し、検索意図が満たされたことを示す良好なユーザー行動が観測されている。また指名検索を多く獲得している。 |
2017年5月15日のGoogle社内向けプレゼンテーション1では、検索順位を決める3本の柱を下図のように説明しています。ここではボディ、アンカー、ユーザー・インタラクションという表現がされていますが、SEOの用語でいえばオンページ要因、オフページ要因、ユーザー行動要因です。

上図にある3点は現在も主要な順位決定シグナルであり、ABCシグナルと呼ばれています。良質なコンテンツを発信し良好なユーザー行動を引き出すことと、コンテンツやサイトが外部から高い評価を得ることで、検索順位が向上していきます。ここからは順位決定の仕組みを見てみましょう。
検索順位が決まる仕組み
検索結果を生成するアルゴリズムは、まず検索ユーザーが入力したクエリ(検索キーワード)を分析して、その検索キーワードの背後にある検索意図を推測します。次いで答えとしてふさわしいページをインデックスから選び出し、ページの信頼性を測る様々なシグナルを加味してランキングを出力します。

ここからはクエリ(検索キーワード)の入力から検索結果に表示される条件、そして検索結果の上位に表示されるための要件までを以下の3つの観点から簡単に説明します。
コンテンツはユーザーの検索意図に沿っているか
クエリを受け取った検索エンジンは、そのクエリの背後にある検索意図を推測し、その検索意図に沿ったページ群をインデックスから抽出します。ここで注意したいことは、ページの品質がどれだけ優れていても、また検索キーワードが含まれていても、ユーザーの検索意図と一致していなければ検索結果には表示されないことです。
検索意図は次の5種類に大別できます。情報を探すことを意図する「インフォメーショナル」、購買などの取引を意図する「トランザクショナル」、商取引のための調査を意図する「コマーシャル」、場所を探すことを意図する「ローカル」、特定のウェブページへの移動を意図する「ナビゲーショナル」です。

検索エンジンは検索ユーザーの検索意図に焦点を当て、そのコンテンツが検索ユーザーの意図を満たすものであるかを判定します。コンテンツが検索意図に沿っていることは、検索結果に表示されるための条件です。このため私たちは、ユーザーの検索意図を的確に満たすコンテンツを作成する必要があります。
コンテンツは実際の人々から選ばれているか
検索意図を満たすコンテンツを用意することで検索結果に出る条件は満たせますが、それだけでは上位に表示されません。検索結果の上位に表示されるためには、コンテンツまたはサイトが実際の人々から高く評価されている必要があります。検索エンジンのアルゴリズムは実際の人々による評価から学ぶ仕組みになっているからです。
検索エンジンのアルゴリズムは人間ではありませんから、そのウェブページが良いものか悪いものか、どれだけ面白いか、どれだけ役に立つかなどを、主体的に判断することはできません。そこでアルゴリズムは人々の反応を見て、そこから学びます。それは私たちがよくする次のような判断と似ています。
- 店の前にできている行列を手がかりに飲食店を選ぶ。
- 動員ランキングや興行収入ランキングを手がかりに観る映画を選ぶ。
- ベストセラーのリストやランキングを手がかりに読む小説を選ぶ。
- その筋の信頼できるマニアが選んだものを選ぶ。
- 権威ある機関が推薦しているものを選ぶ。
上記のように、私たちは他の人々の行動を手がかりにして良し悪しを判断することがあります。検索エンジンのアルゴリズムがしていることはこれと似ています。ウェブページやウェブサイトに対する人々の反応を見て、品質や信頼性を評価するのです。2016年12月8日のGoogle社内向けプレゼンテーション「Q4 Search All Hands」2では、次のようなスライドを使ってその事実を説明しています。

Googleが手がかりに使うものは、リンクや、言及や、評判や、指名検索や、実際のユーザーの行動です。これらの膨大なデータを使って「人々が良いと判断したもを良いものとみなす」ことを大規模に実施することで、検索結果の順位が作られます。SEOで「実際のユーザーから良好な反応を引き出す」ことが何より重要なのはこのためです。
サイトやコンテンツ作者は他者から信頼されているか
人々が信頼し、高く評価するのは、E-E-A-Tに優れたページです。E-E-A-Tとは、Experience(経験)、Expertise(専門性)、Authoritativeness(権威性)、Trust(信頼)のそれぞれの頭文字を取った頭字語であり、Googleが検索品質評価ガイドライン3の中で定義しているGoogle独自のウェブページの評価基準です。

E-E-A-Tは上の図のように、中心に「信頼」があり、経験、専門性、権威性がそれを支えます。つまりE-E-A-Tのゴールは「ユーザーから信頼されること」であり、そのゴールのために私たちは、コンテンツで経験や専門性を表現し、外部から参照される権威性を育てていきます。なおGoogleはユーザーからの信頼を主に被リンクと指名検索とユーザー行動で理解します。
SEOを自分で実施する4ステップ
ここまでの説明でSEOについての概要をざっと理解したら、さっそく実践してみましょう。「習うより慣れろ」です。ここでは初心者から中級者向けに、安全性と確実性が高いSEOの方法を4つのステップに整理しました。この4つのステップに沿って進めることで、まったくの初心者でも比較的簡単に一定の結果を出すことができます。
話題とキーワードを選定する
SEOの最初のステップは、コンテンツで扱う話題を選定し、同時に、そのコンテンツで狙うキーワードを選定することです。コンテンツで扱う話題はあなたの見込み客が抱いている疑問や課題であり、キーワードは見込み客がその答えを探すときに使いそうな検索キーワードです。これらの選定のポイントは次の3点です。
- 関連性 – 見込み客を効率的に集客するために、あなたの専門分野との関連が深く、あなたの製品やサービスを使うことで解決が可能な疑問や課題を話題に選びましょう。
- 具体性 – 検索ニーズがより明確な、具体的に絞り込まれた話題とキーワードを選びましょう。検索ボリュームは小さくなりますが、上位表示が容易で、よく絞り込まれた確度の高い集客ができます。
- 競合性 – 競合が公的機関や大手企業ばかりといった難易度が高いキーワードは避けましょう。無名の会社や個人のサイトも表示されるようなキーワードが狙い目です。
話題やキーワードを選定する目的は、検索ユーザーの中からあなたの顧客になる可能性のある見込み客を絞り込むことです。見込み客が抱く疑問や課題にフォーカスし、より具体的なキーワードを選ぶことで、見込み客にアプローチしやすくなります。またキーワードが具体的であればあるほど上位表示が容易であることもポイントです。

キーワードは検索マーケティングのファネル(上図)を念頭に、見込み客がコンバージョンまでにたどる各段階に応じたものを揃えることで、認知段階から接触を増やして関係を構築でき、検討段階を有利に進めることができ、転換の段階ではコンバージョンを最大化できます。
検索意図と難易度を調査する
SEOの二番目のステップは、先ほど選定したキーワードのそれぞれについて、Googleがどんな検索意図であると認識しているかを調査すると同時に、キーワードごとのSEOの難易度を調査することです。SEOの難易度はキーワードや話題によって変化します。難易度の高い話題やキーワードは避けたほうが無難です。まずは実際に検索してみましょう。
- 検索結果に公的機関が多く表示される – 政府ドメイン(.go.jp)や地方自治体ドメイン(.lg.jp)や高等教育機関ドメイン(.ac.jp)、または医療機関のサイトが多く表示される場合、GoogleはそのキーワードをYMYLトピックだと認識している可能性が非常に高いです。一般のサイトが上位表示するのは事実上不可能ですので、キーワードを再考しましょう。
- 検索結果に大手企業が多く表示される – テレビCMなどでよく知られた大手企業が多く表示されている場合、極めて競争が激しく、これからSEOに取り組む中小企業が狙うキーワードとしては難易度が高すぎます。もう少し絞り込んだキーワードを考える必要があります。
先ほど選んだそれぞれのキーワードで実際に検索してみて、検索結果が上記のようなものになっていたなら、そのキーワードでのSEOは避けましょう。これらは上級者にも手に負えないか、または長い時間のかかる非常に困難なキーワードです。コンテンツで扱う話題から検討し直し、もっと難易度の低いものを選択すべきです。
難易度の低いキーワードで確実に上位を獲得し、検索結果でクリックされる機会を増やしていくことで、検索エンジンに対してサイトの存在感を示すことができます。初めのうちは狙うキーワードを絞り込むことを意識しましょう。
難易度の低そうなキーワードを選んだら、それぞれのキーワードについてさらに検索結果をよく見てみましょう。Googleがそのキーワードの検索意図をどう判断しているかによって、あなたが制作すべきコンテンツの種類が決まるからです。実際に検索してみた結果は次のうちどれに近いでしょうか?
- 意味や概念を説明するコンテンツが多く表示される – Googleはそのキーワードを「知りたい」意図だと認識しています。あなたが作るべきコンテンツは、専門家としての知識や経験を活かして対象の事物を包括的に説明するコンテンツです。
- 方法を説明するコンテンツが多く表示される – Googleはそのキーワードを「やってみたい」意図だと認識しています。あなたが作るべきコンテンツは、専門家としての知識や経験や技能を活かして方法やコツを説明するコンテンツです。写真や動画を使うのも効果的です。
- おすすめリストが多く表示される – Googleはそのキーワードを「買い物の下調べをする」意図だと認識しています。あなたが作るべきコンテンツは、専門家としての知識や経験を活かしたおすすめリストや選び方ガイドです。
- 地図が表示される – Googleはそのキーワードを「場所を探す」意図だと認識しています。あなたが実施すべきなのはコンテンツSEOではなくローカルSEOです。
- 商品や通販サイトが多く表示される – Googleはそのキーワードを「商品を探す」意図だと認識しています。あなたが実施すべきなのはコンテンツSEOではなくECサイトのSEOです。
上記の中で狙い目なのは、「知りたい」検索意図に答えて意味や概念を説明するコンテンツと、「やってみたい」検索意図に答えて方法やコツを説明するコンテンツです。これらはあなたの専門知識や経験を投入しやすく、また、コンテンツのアイデアも実際の見込み客から得られるためにアイデアが枯渇しにくいからです。
コンテンツを作成し改善する
三番目のステップでは、ここまでに選定した話題とキーワードに沿って、ユーザーの検索意図に合致し、役立つ高品質なコンテンツを作成していきます。自社が専門性を保持している領域の範囲内で、自社の見込み客の疑問に答え困りごとを解消するコンテンツを作成することで、検索エンジンから見込み客を集客します。
Google の自動ランキング システムは、検索エンジンでのランキングを上げることではなく、ユーザーにメリットをもたらすことを主な目的として作成された、有用で信頼できる情報を検索結果の上位に掲載できるように設計されています。
有用で信頼性の高い、ユーザーを第一に考えたコンテンツの作成 | Google 検索セントラル4
Googleは公式ドキュメントで上記のように述べて、検索結果の上位に表示されるためにはユーザーのメリットになるコンテンツが必要であることを説明しています。コンテンツ制作にあたっては、検索ユーザーの役に立ち、検索ユーザーにメリットを提供することを重視しましょう。重要なポイントは次の通りです。
- 扱うトピックは自社の専門領域に限定すること。
- 対象読者を自社の見込み客に限定すること。
- 見込み客の役に立つ質の高いものであること。
- 経験や専門知識に裏打ちされた信頼できる内容であること。
- 他にない独自の価値を持っていること。
- 主張の根拠となる出典が明記されていること。
- 関連するコンテンツに内部リンクすること。
- キーワードをタイトルや見出しや本文の中で自然に使うこと。
- 低品質なページを改善または削除すること。
コンテンツの公開後も改善が必要です。Googleサーチコンソールの「検索結果」レポートを使って表示順位やクリック数を追跡し、期待するほどのパフォーマンスが出ていないコンテンツを改善しましょう。内容の新鮮さを保ち、よりわかりやすく、より詳しく、より包括的で、より信頼できるように改善することで、SEOのパフォーマンスを高めることができます。
外部からの評価を獲得する
SEOの最後のステップはサイト外部への働きかけです。SEOはサイト内だけでは完結しません。Googleの検索結果のランキングは実際の人々による評価を最重要視します。あなたのサイトが実際に人々によく知られ信頼されているブランドになる必要があるのです。サイトやコンテンツ著者のエンティティを確立し、指名検索を得ていくことが目標です。

サイト運営者が直接的に制御できるコンテンツSEOやテクニカルSEOはSEO全体のごく一部にすぎません。そのサイトやコンテンツの重要性は外部サイトからのリンクや言及、実際のユーザーの行動で裏付けられます。そうした裏付けを得るために次のようなことを実施します。できるもの、得意なものを優先して取り組んでいきましょう。
- 外部サイトでのレビュー投稿を依頼する – Googleマップやその他のクチコミサイトでレビューを投稿してもらえるように、顧客や取引先などに依頼します。同梱物やリマインダーのメールを利用したり、オンラインやオフラインでの社交を通じて直接依頼することで、好意的なレビューを増やすことができます。
- サイト内での商品レビューを依頼する – Amazonなどが好例ですが、ECサイトでは、自社が管理するサイト内に掲載される商品レビューでも数が多くなればプラスに働きます。商品を買ってくださったお客さまにレビュー投稿を依頼しましょう。
- SNSやブログの投稿を依頼する – 商品を実際に使っているシーンをSNSやブログに投稿してもらえるように顧客に依頼します。商品を送付する際の同梱物に以来のメッセージを含めたり、リマインダーのメールで依頼することが有効です。
- 名前を覚えてもらう – 店名やサイト名、コンテンツの著者名などを覚えてもらわなければ、それを話題にすることはできません。SNSやメルマガを通じて接触頻度を増やしたり、コンテンツに著者情報を表示することが有効です。
- 被リンクを構築する – SNSなどを使ってコンテンツや商品を宣伝したり、顧客や取引先に依頼することなどを通じて被リンクを構築します。基本的な被リンク構築に加えて、幅広いデジタルPRを実施するのも有効です。
- オンラインでの社交を通じて存在感を増す – 社長の個人アカウントでSNSに参加し、専門領域での情報提供を積極的に実施してSNS上のコミュニティに貢献し、何かと話題になるような、また情報源として頼られるような存在感を獲得します。
- オンラインでシェアされやすいコンテンツを作成する – コンテンツを作るとき、独自の調査結果を含めたり、インフォグラフィックをまとめるなど、オンラインでシェアされやすい性質を付け加えます。シェアされるコンテンツは御社の存在感を高めます。
- 話題を作り発信する – キャンペーンやイベントの開催など、人々の話題に上る機会を作ります。話題づくりの際には、SNSやメールマガジンや各種の広告を通じた宣伝だけでなく、プレスリリースを配信してマスメディアにアプローチするのも有効です。
- 製品やサービスを最適化する – 製品やサービスの品質や価格は、クチコミや評判を呼び、利用者を増やすための要です。これらを最適化し、競合との間に比較優位を築くことで、市場での存在感を高めます。
- 地域や業界に貢献する – 地域社会や業界での世話役などを引き受けたり、役立つ情報を継続的に発信したり、見学や視察を受け入れることによっても、知名度や評判を高めることができます。貢献は知名度と評判を作る基本です。
外部からの評価を獲得する施策は種類が多いですが、すべてを実施する必要はありません。できるもの、得意なもの、御社のブランド価値の向上につながりやすいものを優先して取り組みましょう。
外部からの評価は、特にECサイトのSEOとローカルSEOで重要です。またどんなサイトでも、外部からの評価が増えるにつれて、競争の激しいキーワードでも検索結果の上位を獲得できるようになっていきます。クチコミや評判が成長に直結するのは、実際の事業でもウェブサイトでもまったく同じです。
AI検索のSEOへの影響
Google検索の検索結果上部に表示される「AIによる概要」を参考にしたり、またはGeminiやChatGPTなどの生成AIに知りたいことや買いたいものについて自然文で質問し自然文で答えを得るような、AI検索を使った検索行動は今後も増えていくと予想されています。質問に対する「答えを提示するページ」を探す従来からの情報探索行動に「答えそのもの」を教えてもらう情報探索行動が加わる形です。
この結果、ウェブサイトへのアクセス数の減少が続くことが予想されますが、長期的にはそうした流れは2014年に導入された「強調スニペット」から10年以上に渡って続いており、最近になって突然始まったものではありません。ここで留意しておきたいことは、ウェブサイトへのアクセス数は減少しても、製品やサービスに対する消費者のニーズが減少したり消滅するわけではないことです。
AI検索の利用が増えるにしたがってウェブサイトへのアクセス数が減少する一方で、1アクセスあたりの成約率などアクセスの質は向上する傾向にあります。すでにAI検索を使って下調べを済ませた消費者が、強い購入意向を持ってアクセスしてくることが増えているためです。ここで私たちが取り組むべきは、AI検索の結果に自社のブランドを露出させ、比較検討の対象に含めてもらうことです。
AI検索の結果に自社のブランドを露出させるためにすべきことは、ここまで紹介してきたような従来のSEOです。少なくとも10年以上にわたって、通常のウェブ検索も背後ではAIが動いています。その仕組みが急に別のものに置き換わったわけではありません。ただし従来のSEOの中でも特に外部からの評価の獲得は重要です。これまで以上に「他者に語ってもらう」取り組みを進めましょう。
まとめ
ここまでSEO(検索エンジン最適化)の概要と実践方法を解説してきました。できるだけわかりやすく説明したつもりですが、少し難しく感じられたかもしれません。しかしやるべきことは「あなたの見込み客の目的達成を専門家として的確に助けるコンテンツを作る」ことと「あなたやあなたの会社の知名度や信頼を高めること」ですから、ごく普通の商売の延長線上にあり、特別なことはありません。
中小企業ならSEOは社長が自分でやるのが最善です。社内で最も多くの経験と知識を持ち、社外との接点を持ち、名前を知られているのが社長だからです。社長を超える適任者はいないものと心得てください。
SEOに向いている人は、業務上の知識や経験が豊富で、名前と顔を出して活動できる人です。多くの中小企業では、これに該当するのは社長その人だけでしょう。あなたが持つ業務上の知識や経験を活かして、あなたの言葉で、見込み客に知恵を授けましょう。そうすれば、見込み客はあなたが持つ様々な知恵を求めて、あなたのサイトを訪れます。
あなたの知恵で賢くなった見込み客は、あなたを信頼し、あなたから買うでしょう。一方で、競合他社のウェブサイトで学んだ見込み客は、競合他社を信頼し、競合他社から買うでしょう。そのようなことにならないよう、まずはたった1記事から、いますぐSEOを始めましょう。やってみれば意外に簡単だと実感できるはずです。
脚注
- Trial Exhibit-UPX0004: U.S. and Plaintiff States v. Google LLC – Google presentation: Life of a Click (user-interaction) (May 15, 2017) ↩︎
- Trial Exhibit-UPX0219: U.S. and Plaintiff States v. Google LLC – Google presentation: Q4 Search All Hands (Dec. 8, 2016) ↩︎
- Google検索品質評価ガイドライン(英語・PDF) ↩︎
- 有用で信頼性の高い、ユーザーを第一に考えたコンテンツの作成 | Google 検索セントラル ↩︎