E-E-A-Tとは、Experience(経験)、Expertise(専門性)、Authoritativeness(権威性)、Trust(信頼)の頭字語で、Googleが検索品質評価ガイドラインで定めた独自のウェブページ評価基準です。本稿ではこのE-E-A-Tを中心にSEOの視点から検索品質評価ガイドラインを読み解きます。
目次
E-E-A-Tとは
E-E-A-Tとは、Google独自のウェブページの評価基準です。E-E-A-Tという用語はExperience(経験)、Expertise(専門性)、Authoritativeness(権威性)、Trust(信頼)のそれぞれの頭文字を取った頭字語であり、Google検索品質評価ガイドライン[1]の中で定義されています。
検索品質評価ガイドラインによれば、経験(E)、専門性(E)、権威性(A)のそれぞれは「信頼(T)」を支える重要な概念であり、E-E-A-T 系列で最も重要なのは「信頼」であるといいます。同ガイドラインのセクション3.4には「経験、専門性、権威性は、信頼を評価するための裏付けとなる重要な概念である」とあり、以下のような図が提示されています。

また、Googleが2019年に発表した白書「Googleはどのように偽情報と戦っているか[2]」の12ページには「ランキングシステムは、専門性、権威、信頼性の高いサイトを特定するために特別に設計されています」とあります。この記述からは、E-E-A-Tがサイト単位で、ランキングシステムによって評価されていることがわかります。
YMYLトピックとE-E-A-Tの要求水準
検索品質評価ガイドラインでは、ユーザーの幸福、健康、経済的安定、または安全に重大な影響または損害を与える可能性があるトピックを「Your Money or Your Life」またはYMYLと呼んでいます。Googleは2014年にYMYLカテゴリーを導入しました。以下のような損害が発生する可能性のあるトピックがYMYLに該当します。[3]
- 健康または安全 – 精神的、身体的、感情的な健康、または身体的安全やオンライン上の安全など、あらゆる形の安全を害する可能性のあるトピック。
- 経済的な安全 – 自分自身や家族を支える能力を損なう可能性のあるトピック。
- 社会 – 人々の集団、公共の利益、公的機関への信頼などに悪影響を及ぼす可能性のあるトピック。
- その他 – 人々を傷つけたり、社会の福祉や幸福に悪影響を及ぼす可能性のあるトピック。
このYMYLカテゴリについてGoogleは、信頼性と安全性について最も厳しい基準で運営することが期待されているものと想定しています。このためユーザーのクエリがYMYLのトピックに関連していることをGoogleのアルゴリズムが検出した場合、ランキングシステムは、E-E-A-Tをより重視した検索結果を返します。[4]
Google のシステムでは、人の健康や安全、経済的安定、社会の福利厚生に大きく影響する可能性のあるトピックについては、E-E-A-T が優れたコンテンツを特に重視します。
有用で信頼性の高い、ユーザーを第一に考えたコンテンツの作成 | Google 検索セントラル[5]
なお検索品質評価ガイドラインの11ページには、YMYLには濃淡があるという説明があります。明確にYMYLカテゴリに該当するトピック、該当しないトピック、そしてそれらの中間のトピックがあり、ほとんどのトピックは明確なYMYLには該当しないといいます。とはいえ個人的には、どんなトピックであれ正確性や信頼性に留意して損はないと考えます。
アルゴリズムを改善する指針
Googleの検索品質評価ガイドラインは、Googleによって何度も繰り返されてきた説明[6]によれば「アルゴリズムそのものではなく、アルゴリズムを改善するための指針」です。例えば2018年9月には、当時のGoogleの検索担当副社長ベン・ゴメス氏[7]は米CNBCのインタビュー[8]に次のように答えています。
検索品質ガイドラインは、Googleが検索アルゴリズムに望んでいることだと考えて構いません。ガイドラインはアルゴリズムがどのように結果をランク付けしているかを示すものではありませんが、アルゴリズムが何をすべきかを示しています。
Google検索担当副社長ベン・ゴメス
検索品質ガイドラインやそこで説明されているE-E-A-Tは、特定のアルゴリズムを指すものではなく、また、E-E-A-Tスコアのようなものも存在しません[9]。しかし、ガイドラインで示された各基準を検索結果に反映するために複数のアルゴリズムが動いており、それらは日々改善されています。
Googleでは、E-E-A-Tが優れたコンテンツを表示できているかどうかを判断するための特別な訓練を受けた検索品質評価者が、Googleのアルゴリズムが適切な検索結果を表示しているかどうかについての知見を提供しています[10]。この判断基準は検索品質評価ガイドラインにまとめられ公開されており、私たちも見ることができます。
Google のランキング システムは、E-E-A-T(専門性、エクスペリエンス、権威性、信頼性)で表される品質を満たした、オリジナルかつ高品質のコンテンツを評価することを目的としています。
制作方法を問わず高品質のコンテンツを評価 | AI 生成コンテンツに関する Google 検索のガイダンス[11]
検索品質評価ガイドラインに記載されているE-E-A-Tの評価基準を参考にすることで、私たちは自分たちが作成するコンテンツをE-E-A-Tの観点から自己評価することができ、ランキングシステムが使用する様々なシグナルに適合するようにコンテンツを改善することができます[12]。つまりE-E-A-Tを知ることで、SEOをより効果的にできるのです。
E-E-A-Tの詳細
ここでは、経験(E)、専門性(E)、権威性(A)、信頼(T)のそれぞれについて、検索品質評価ガイドラインの内容をふまえながら、ひとつずつ解説していきます。これらの中には、原語(英語)と訳語(日本語)でニュアンスに違いが出ているものもありますので、その点も加えて解説していきます。
E:Experience(経験)
E:Experience(経験)では、そのトピックについての実体験や人生経験をコンテンツ作成者がどの程度持っているかが検討されます。ここでいう経験とは、専門性を示す業務上の経験のことだけではなく、日常生活や人生における経験も含んでおり、特に後者についての記述が多いことには注意が必要です。
ガイドライン(2023年12月版)で示された例では「個人的にその製品を使った経験がある人とそうでない人のレビューでは前者のほうが信用できる」というような、ユーザー目線での個人的な経験の例が示されています。経験に関するGoogle公式の説明には次のようなものがあります。
実際に製品を使用している、実際にその場所を訪問している、誰かが経験したことを伝えているなど、コンテンツにある程度の経験が織り込まれているかどうかも評価されます。状況によっては、そのトピックに関連して実体験をもつ人が作成したコンテンツが最も高く評価される場合もあります。
たとえば、確定申告書の正しい記入方法を知りたいときには、会計の専門家が作成したコンテンツを参照したいでしょう。一方で、確定申告ソフトの評価を知りたいのであれば、その種のサービスを体験した人たちが集まるフォーラムの議論など、別の情報を探すのではないでしょうか。
品質評価ガイドラインの最新情報: E-A-T に Experience の E を追加 | Google 検索セントラル ブログ[13]
- コンテンツは、実体験や深い知識(たとえば、実際に商品やサービスを使用したり、ある場所を訪れたりした経験に基づく特別な知識)を明確に示していますか。
有用で信頼性の高い、ユーザーを第一に考えたコンテンツの作成 | Google 検索セントラル[14]
個人的な人生経験や実体験は、ほとんどすべてのトピックで価値があります。とりわけソーシャルメディアの投稿やフォーラムのディスカッション、ブログ記事などでは、交響曲の作曲から家電製品のレビューまで、人々が自分の個人的な経験を共有することで質の高いものになります。
こうした人生における個人的な経験について検索品質評価ガイドラインは、2022年7月版[15]までは「日常生活の専門知識(everyday expertise)」として「E:Expertise(専門性)」の項で扱っていました。しかし2022年12月版で「E:Experience(経験)」が加えられてからはそちらで扱っています。
その一方で、業務上の経験については従来通り「E:Expertise(専門性)」で扱われているものと考えてよさそうです。というのも、Expertiseという言葉には「訓練や実践で得た専門性」といったニュアンスがあり、業務上の経験はExpertiseに内包されると考えることが自然であるからです。
E:Expertise(専門性)
E:Expertise(専門性)では、そのトピックに必要な専門知識や技術をコンテンツ作成者がどの程度持っているかが考慮されます。この記事やGoogle公式のドキュメントも含め、多くの記事ではExpertiseの訳語に「専門性」を当てていますが、これは原語の意味と多少のニュアンスの違いがあります。Expertiseの辞書的な意味は次の通りです。
- 〔専門家の〕助言、見解
- 〔ある分野の〕専門知識[技術・技能]
expertise|英辞郎 on the WEB[16]
Expertiseは、専門知識、専門技術、専門技能や、それらに裏打ちされた助言や見解を指します。またExpertiseには、国家資格で認定されるような公式のものもあれば、切手収集や家事のような非公式のものもあり、GoogleはどちらもExpertiseとして扱います。専門性に関するGoogle公式の説明には次のようなものがあります。
- コンテンツは、トピックに関して十分な知識を持つことが明白な専門家または愛好家によって書かれたものですか。
有用で信頼性の高い、ユーザーを第一に考えたコンテンツの作成 | Google 検索セントラル[17]
専門性と権威性がサイトの質を向上させます。サイト内のコンテンツは、そのトピックの専門家が作成または編集するようにしましょう。
専門性と権威性を明確にする | Google 公式 SEO スターター ガイド[18]
検索品質評価ガイドラインやその他のドキュメントから得られるアドバイスは「そのトピックについての十分な専門知識や技能(Expertise)を実際に持った専門家(Expert)自身がコンテンツを作成する」ことに尽きます。ここで明確にしておきたいことは、日本語に訳すときには同じ「専門性」と訳される他の概念との違いです。
- Specialty – 専門性、特化性
- Expertise – 訓練や実践で得た専門性
- Professional – 職業上の専門性
上記はどれも「専門性」と訳されますが、それぞれ異なる意味を持っています。Specialtyは「Home appliances specialty store(家電専門店)」のような形で、ある分野に特化していることを指します。そのSpecialtyではなくExpertiseが使われている理由は「特定の分野に専門特化したサイトにするだけでは不足である」からでしょう。
また、職業上の専門性をだけを指すProfessionalではなく、特に職業上の専門性に限定されないExpertiseが使われている理由は、職業や生業としての専門知識や専門技能が重要であるのと同様に、生活や趣味における専門知識や専門技能もまた、その分野のコンテンツ作成者に求められるからでしょう。
「E:Expertise(専門性)」の項で述べられていることは、税務申告のようなYMYLトピックから写真のような趣味まで、どんなトピックを扱っていたとしても、満足のいくコンテンツを提供するには、コンテンツ作成者にはそのトピックにおける高い専門知識や専門技能が必要だということです。
A:Authoritativeness(権威性)
A:Authoritativeness(権威性)では、そのトピックに関する有力な情報源としてコンテンツ作成者やウェブサイトがどの程度知られているかが考慮されます。被引用数や知名度が考慮されるのです。Authoritativenessの原語の意味は「正確性または卓越性が認められているものや公式のもののように、引用に適した決定的な情報源」です[19]。
検索品質評価ガイドラインとは別の場所においても、権威性についてのGoogleの説明は一貫しており、引用元としての信頼度や知名度のことを権威性と表現しています。白書「Googleはどのように偽情報と戦っているか」ではより直接的に「信頼性と権威性を特定するシグナルで最もよく知られているのはPageRankである」と説明しています。
Googleのアルゴリズムは、信頼性と権威性に関連するページのシグナルを特定します。これらのシグナルの中で最もよく知られているのはPageRankで、ウェブ上のリンクを使って権威性を理解します。
「Googleはどのように偽情報と戦っているか」[20]
権威あるコンテンツ作成者またはサイトとは、ある特定のトピックにおいて引用元としてよく参照される(リンクされる)コンテンツ作成者またはサイトのことを言います。言い換えれば「特定のトピックにおける信頼できる情報源」が権威あるコンテンツ作成者またはサイトであるということです。
また、そのコンテンツ作成者やサイトが当該トピックの権威であれば、当然、頻繁に参照や引用されており、それにともなって高い知名度や認知度を持っているはずです。こうしたことは評判を調査すればすぐにわかることであり、Google検索セントラルの記事では次のような表現で指摘しています。
- コンテンツを制作しているサイトを誰かが調査したとしたら、対象トピックの権威としてサイトが信頼されている、または広く認知されているという印象を受けますか。
有用で信頼性の高い、ユーザーを第一に考えたコンテンツの作成[21]
よく引用元として参照される信頼できる情報源は、公式のトピックでは官公庁のページが中心であると言えそうです。また、医療のようなYMYLトピックでは、査読済みの学術論文なども信頼できる情報源です。こうしたトピックで自分のサイトにAuthoritativenessを持たせることは容易ではありません。
その一方で、ほとんどの仕事や趣味に関するトピックにおいては公式の情報が存在しないため、信頼できる情報源は多岐にわたります。自分や自社の専門分野という狭い範囲にトピックを限定し、自分のサイトを信頼できる情報源にすることは十分に可能であり、挑戦する価値があります。
T:Trust(信頼)
T:Trust(信頼)はこの記事の冒頭でも述べたとおり、経験、専門性、権威性に裏付けられて成立するものです。また、自己評価で「自分には専門性や権威性がある」と主張しても意味がなく、客観的にGoogleが計測可能なシグナルとして言及(サイテーション)や引用(被リンク)を受ける必要があり、信頼はその上に築かれます。
ウェブサイトやコンテンツの信頼性を評価するとき、そのウェブサイトやコンテンツそのものの主張よりも、外部の独立した第三者による評判のほうが証拠として信頼できる、というのがGoogleの考え方です。以下は、ウェブサイトやコンテンツの制作者が信頼できるかどうかを検証するための情報源を示した部分の引用です。
ウェブサイトやコンテンツ制作者について他人が述べていること: ウェブサイトやコンテンツ制作者に関する独立したレビュー、参考文献、ニュース記事、その他の信頼できる情報源を探そう。ウェブサイトやコンテンツ制作者が経験豊富である、専門知識がある、権威がある、またはその他の点で信頼できると考えられる独立した信頼できる証拠が見つかるか? そのウェブサイトやコンテンツ制作者が信頼に値しないという独立した信頼できる証拠は見つかるか?
検索品質評価ガイドライン(2022年12月版)P27
検索品質評価ガイドラインによれば、信頼はYMYLカテゴリにとって特に重要であり、医療情報や金融取引情報など、このカテゴリのサイトやページは最高レベルの信頼を必要とします。非YMYLカテゴリであっても、商品レビューや各種のアドバイス情報を扱うトピックであれば、それにふさわしい信頼が必要となります。
E-E-A-Tへの適合
ここまでの内容をふまえ、コンテンツ、コンテンツの作成者、ウェブサイトのそれぞれがE-E-A-Tに適合したものになるための要件を以下にまとめます。これらのうち、コンテンツだけは作成者の努力である程度まではE-E-A-Tに適合させることができますが、コンテンツ作成者とウェブサイトは他者からの言及や参照や評判が必要になることがポイントです。
コンテンツのE-E-A-T
コンテンツのE-E-A-Tはコンテンツ作成者やウェブサイトのE-E-A-Tの基礎となります。優れたコンテンツが、コンテンツ作成者やウェブサイトの権威性や信頼を形成していく足がかりになるためです。コンテンツで経験と専門性を表現することで、権威と信頼の証明となる外部からの評価を獲得していく、という流れを意識しましょう。
- コンテンツは、その作成者の実体験や専門知識が十分に反映されており、有用で信頼性の高い高品質なものになっている。
- コンテンツは、他の情報源の単なるコピーや書き換えではなく、独自の情報や分析、詳細または包括的な説明を含んでおり、実質的な価値を提供している。
- コンテンツは、信頼できる出典を明記しながら誤情報や偽情報がないように労力をかけて丁寧に作成されており、十分な正確性が保たれている。
- コンテンツは、作成者が誰であるかが明確で、作成者のプロフィールがわかるバイラインが表示されている。
- コンテンツは、検索エンジンからのアクセスを集めることではなく、利用者の役に立つことを目的に作成されている。
外部からの評価を獲得するための足がかりとしてコンテンツを機能させるためには、単に高品質であるだけでは不十分です。そのコンテンツの存在を特定の誰かに教えたり、特定のコミュニティに共有したくなるなど、具体的な行動を引き出せるほどの突き抜けた品質が必要となります。コンテンツのE-E-A-Tではそこを目指しましょう。

コンテンツ作成者のE-E-A-T
コンテンツ作成者のE-E-A-Tは、専門家としての知識や技能に加えて、知名度や評判が重要な要件となります。知名度や評判を形成していくためには、業界などのコミュニティ内での露出を増やして名前を覚えてもらうことと、作成したコンテンツで利用者からの反応を引き出すことが必要です。単にコンテンツを作成するだけとはいきません。
- コンテンツの作成者は、そのトピックに必要な実体験または専門知識またはその両方を十分に持っていて、それがコンテンツそのものやバイラインやプロフィールページで表現されている。
- コンテンツの作成者は、そのトピックに関する専門家または熱心な愛好家として知られており、肯定的な評判を得ている。
- コンテンツの作成者は、そのトピックに関する情報源としてよく知られており、そのトピックにおける権威ある媒体や権威者からの言及や被リンクを受けている。
専門家としての知識や技能を磨き、有用で高品質なコンテンツを作成し、オフラインやオンラインでの社交を通じてプレゼンスを上げ、講演や寄稿など自社のコンテンツ作成とは別の手段で露出を増やすなど、コンテンツ作成者のE-E-A-Tを高めていく活動は多岐にわたり、そのどれもが容易ではありません。
当然ですが、E-E-A-Tの向上に挑戦したすべての人が専門家として認められる存在になれるわけではなく、権威者として認められる存在になる人はさらに少数です。とはいえ、自分が属する狭い業界内での挑戦ですし、業界によっては「地域で一番の専門家」などでも十分かもしれません。実現可能性は十分にあります。
ウェブサイトのE-E-A-T
ウェブサイトのE-E-A-TはA:Authoritativeness(権威性)の項で説明したとおり、引用元、参照先として被リンクを集めていることがシグナルとなってGoogleに認識されます。ウェブサイトが専門性、知名度、信頼性を備えていることに加え、権威性を備えた著名なコンテンツ制作者を抱えていることも条件になるでしょう。
- ウェブサイトは、そのトピックに関する情報源としてよく知られており、そのトピックにおける権威ある媒体や権威者からの言及や被リンクを受けている。
- ウェブサイトは、検索エンジンからのアクセスを集めることではなく、利用者の役に立つことを目的に運営されていて、肯定的な評判を得ている。
サイト内で発信する一つ一つのコンテンツがそれぞれ被リンクを受け取り、そうしたコンテンツが多くなればなるほど、ウェブサイトのE-E-A-Tは向上していきます。また、ソーシャルメディア上でのいいね!やシェアは知名度や評判を向上させます。ウェブサイトのE-E-A-Tには、アーンドメディアの獲得(外部メディアでの露出)が欠かせません。

サイト内のすべてのコンテンツが、被リンクやいいね!やシェアなどのアーンドメディアを獲得できることが理想です。そのためには、ウェブサイトとしてのコンテンツの品質管理と、コンテンツ作成者個人によるオフラインでの社交とソーシャルメディア最適化が、ウェブサイトのE-E-A-Tを向上させるキーポイントとなるでしょう。
著者の情報を提供する
コンテンツの信頼性を判断するとき、そのコンテンツの作成者に関する情報は重要です。コンテンツの著者が誰で、どのような背景や専門分野を持った人物なのか、といった情報が提供されていれば、読者やGoogleはコンテンツ作成者の評判を調査することが容易になり、著者のE-E-A-TやコンテンツのE-E-A-Tを判断する有力な材料となります。
誰がコンテンツを作成したのかが明確であれば、そのコンテンツの E-E-A-T は直感的に理解されやすくなります。考えるべき「誰が」とはこのことです。コンテンツを作成する際は、以下の「誰が」に関連した質問を自身に問いかけてください。
- コンテンツの著者が誰であるかを明確にしていますか。
- ページの然るべき場所にバイラインを記載していますか。
- バイラインが著者や関係者についての詳細につながるものであり、その人たちのバックグラウンドや専門分野に関する情報をもたらすものになっていますか。
コンテンツの作成者が誰であるかを明確にしている場合は、E-E-A-T のコンセプトに沿っており、成功への道のりを歩んでいるといえるでしょう。著者の情報が求められるであろうコンテンツでは、バイラインを記載するなどして正確な著者の情報を追加することを強くおすすめします。
誰が(コンテンツを作成したか)| 有用で信頼性の高い、ユーザーを第一に考えたコンテンツの作成[22]
バイライン(byline)とは新聞記事などの著者を示す署名欄のことですが、近年ではブログなどの著者情報ボックス(author bio box)を指すことも多くなっており、上記引用もその文脈です。Google検索品質評価ガイドライン2022年版のP64には、高品質なバイラインの例として次のものが紹介されています。

これはニューヨークタイムズ紙のウェブ版に掲載されたブログ記事[23]のバイラインで、著者の KJ Dell’Antonia とそのコミュニティ、およびそれらの連絡先が紹介されています。Google検索品質評価ガイドラインでは、この情報を元に、著者がこのトピック(育児問題)に関して権威あるメディアに多数の寄稿をしている専門家であることを理解できるとしています。
企業のブログにおいても、著者情報を掲載することは重要です。コンテンツに著者情報ボックス(Wordpressをお使いならプラグインディレクトリで「author bio box」と検索[24]すれば適切なプラグインを発見できます)を設置し、名前や専門分野や連絡先などの情報を記載しておきましょう。
またサイト内に著者紹介ページを作成し、学歴や所持資格や受賞歴などの情報をまとめておきます。これも、読者やGoogleが著者やコンテンツの信頼性を判断しやすくするための準備です。もちろんこのサイトでも実装されており、著者情報ボックスをすべての記事下に設置し、著者紹介ページにリンクしています。
ECサイトのE-E-A-T
ECサイトのE-E-A-Tでは、最初のE(Experience:経験)については多くを問われず、従来のE-A-Tが問われます。2番目のE(Expertise:専門性)として商品に関する知識や開発能力が問われ、自社の独自製品を持っていればA(Authoritativeness:権威性)を認められやすく、他のジャンルと比較するとT(Trust:信頼)が厳しく審査されます。
ECサイトでは、商品を探すトランザクショナルクエリの検索結果が人気順で並ぶという特殊性から、E-E-A-TやSEOの考え方も他のジャンルと異なります。ECサイトについては、ECサイトに独自のE-E-A-TやSEOの考え方や施策を紹介したページをご確認ください。情報サイトや、通常のサイトが問い合わせを得るためのSEOとはかなり異なります。
まとめ
白書「Googleはどのように偽情報と戦っているか」によれば、E-E-A-Tの元となったE-A-Tのコンセプトは、フェイクニュースや陰謀論といった偽情報と戦うために生まれたといいます。その後は、医療分野における偽情報や誤情報の拡散防止などにも使用され、現在に至っているものと考えられます。
E-E-A-Tはすでにランキングアルゴリズムに組み込まれており、YMYLカテゴリのうち誤情報や偽情報がもたらす損害が特に大きい領域を中心に、信頼性の高い検索結果を提供するために使われています。筆者の個人的な予測では、今後は適用範囲を拡大し、より誤情報の少ない検索が実現していくものと考えています。
ランキングシステムは、ウェブページの真偽について主観的な判断を下すのではなく、そのウェブページの専門性、信頼性、権威性をユーザーや他のウェブサイトがどのように評価しているかを示す測定可能なシグナルに注目する。
「Googleはどのように偽情報と戦っているか」[25]
上記引用のようにGoogleは、E-E-A-Tを評価するにあたって、計測可能なシグナルとして「ユーザーや他のウェブサイトなど第三者による評価」に注目しています。評判こそがE-E-A-Tの前提です。これは中小企業経営者にとってチャンスです。中小企業経営者なら、自分自身が本物の専門性や権威性や信頼性や評判を築き上げる取り組みができるからです。
評判の良いサイトは信頼できます。特定の分野における専門性と信頼性の評判を築きましょう。
Act in a way that cultivates user trust | SEO Starter Guide: The Basics[26]
E-E-A-Tの向上もSEOと同様に経営者が自分ですべきものです。研鑽によって専門性を高め、社交によって評判を高め、有用な情報源となって権威性を築いていけば、結果として信頼性を獲得することができます。これは単なるSEO施策にとどまるものではなく、業界内でのプレゼンスを向上させる経営努力だとも言えるでしょう。
E-E-A-Tの構築は一朝一夕にはいきませんが、そのつもりで取り組めば一定の成果を上げることは可能でしょう。筆者としては、中小企業にはぜひ取り組んでいただきたいと考えます。まずはコンテンツで専門性をアピールするところから始めましょう。あなたのサイトやブログには、あなたが持っている専門性は反映されているでしょうか?