KISS原則とは、Keep It Simple, Stupid の略語で「誰でもわかるくらい単純にせよ」という意味です。SEOにおいては、シンプルなデザイン、シンプルなサイトの構成、シンプルな文章、シンプルなHTMLコードで、ユーザーや検索エンジンに対するわかりやすさを向上させる取り組みを指します。スマートフォンなど小さな画面の端末が主流となりつつある昨今においては、より重要性の高まった概念と言えます。
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Keep It Simple Stupid
この「Keep It Simple Stupid(誰でもわかるくらい単純にせよ)」という考え方は KISS原則と呼ばれ、デザイン、プログラミング、SEOなど、様々な分野でよく使われる概念です。複雑さや難解さを避け、誰にとってもわかりやすい状態を確保するという意識や取り組みを表しています。
複雑なものほど間違いや誤解を起こしがちになり、余計な手間が増えがちなものです。逆に、シンプルであればあるほど、間違いや誤解は減り、目的はうまく果たされるようになります。特にSEOにおいては、シンプルなわかりやすさを追求することは、次の2つの目的を持っています。
- 検索結果からアクセスしてくる初訪問のユーザーに代表されるようなサイトに不慣れなユーザーに対して、高いユーザビリティを提供すること
- 検索エンジンのクローラーやインデクサに対して、ページの内容を正確に伝えるためのクローラビリティやインデクサビリティを確保すること
また、このKISS原則は「原則」の名の通り、判断に迷ったときに立ち返るべき原則にあたるものです。判断に迷ったらまずは「より単純明快なほうが良い」と考えることで、複雑さや難解さを避け、間違いや誤解を減らすことが可能となります。
ページの構成をシンプルにわかりやすくする
検索結果から訪れるユーザーはコンテンツを利用しようとしています。コンテンツとは、そのページで提供されている情報か、または、そのページで提供されている機能です。こうしたユーザーに対して提供すべきユーザビリティの優先事項は、まとめると次のようになります。
- 探している情報をみつけやすいこと
- 情報がわかりやすく提供されていること
- 関連する情報への動線がわかりやすく提示されていること
こうしたものをよりわかりやすく提供するための最も簡単な取り組みは「ページから余計な要素を取り除く」ということです。余計なものを省きシンプルに保つことは、他のどんな努力よりも強力にユーザビリティを高める効果があります。
そのページでユーザーが探している情報、使おうとしている機能だけにフォーカスし、それ以外の要素を取り除けば、ページの主要部分が引き立ち、わかりやすく迷いにくく使いやすくなるのは自明です。一方、余計なナビゲーションや注意書きが多くあればあるほどユーザーは混乱し、集中力を阻害され、目的を達しにくくなります。
これは検索エンジンに対しても同様です。そのページ固有の情報や機能にフォーカスし、それ以外の要素をできるだけ削除することで、検索エンジンが評価すべき要素を明確にすることができます。余計な要素を省き、迷いようもないほどシンプルな構成にすることは、人間のユーザーに対しても検索エンジンのロボットに対しても非常に有効です。
サイトの構成をシンプルにわかりやすくする
わかりやすいサイト構成によって得られるメリットは、ユーザーに対してはサイト構造の直感的な理解を促進し、検索エンジンに対しては各ページの関連性の評価を正確にすることです。わかりやすいサイト構成を目指す目的をまとめると次のようになります。
- ユーザーがサイト内で移動しやすくなる
- ユーザーが目的の情報や機能を発見しやすくなる
- 検索エンジンがテーマに基づく評価をしやすくなる
サイトの構造をわかりやすいものにするために必要なことは、サイトで提供する情報や機能にマッチした構造の採用と、ユーザー目線による直感的な情報分類という、わかりやすい情報設計です。このときも、単純さやシンプルさを心がけ、複雑さを避けるという姿勢は有用なものとなります。
とりわけ、現在のページとの関連性の低いページへのナビゲーションリンクを排除することは重要です。関連性の低いページへのナビゲーションリンクは、本来移動すべき関連性の高いページからユーザーを遠ざけるとともに、検索エンジンがページ同士の関連性を正しく認識することを妨げます。
文章を簡潔でわかりやすくする
ウェブはその媒体特性から、紙に比べて視認性や可読性が低く、利用者の環境もさまざまで、集中力も維持しにくいものです。このためウェブの文章には、語彙が乏しい人であっても、また集中力が保ちにくい環境(通勤電車でのスマホ利用など)にいる人であっても、急いで流し読みしている人であっても、内容を理解しやすく文意を取り違えにくいことが望まれます。そのためには、下記の各項に留意するとよいでしょう。
- パラグラフライティングを使う
- 適切な位置に適切な見出しを使う
多くの人に正確に内容を伝えたいという場合、文章をシンプルにすることは重要です。他の項と同様この場合も、余計な要素を取り除くことは有用です。難しい語彙や複雑な文法、難解な修辞などを避け、文章の主題と関係の薄い話題を省き、伝えたい内容にフォーカスした簡潔な文章を書くことが望まれます。
HTMLソースコードをシンプルにする
HTMLをシンプルにするとは、構造と表現を分離し、外部化できるものは外部化し、HTMLソースから余計なタグやスクリプトなどが極力少なくなるように記述することをいい、それには次のようなメリットがあります。
- 間違いが起きる可能性を減らし、制作やメンテナンスのコストを下げる
- ファイルサイズを小さくし、帯域を節約し読み込み速度を向上させる
- クローラビリティとインデクサビリティを向上させる
- 検索アルゴリズムにキーワードとの関連性を正しく評価させる
まとめ
SEOにとって「単純であること」は何にもまして重要なことです。シンプルなデザイン、シンプルなサイトの構成、シンプルな文章、シンプルなHTMLコードは、ユーザーと検索エンジンの両方に対してわかりやすさを提供します。SEOを実施していく中で判断に迷うことがあったら「より単純明快なほうが良い」ということを思い出してください。