SEO(検索エンジン最適化: Search Engine Optimization)とは、検索エンジンやAI検索などの検索システムを通じて利用者とブランドを結びつける取り組みです。自然検索やAI検索、生成AIなどの出力に影響を与え、自社の露出を増やします。このSEO実践ガイドでは中小企業を対象に、SEOの仕組みと自分で実施する方法を専門用語を使わずにわかりやすく解説します。
SEOは外部に依頼するのではなく自社内で取り組むのが最も効果的です。またAI時代のSEOは、購入するものを決める過程にいる見込客に「AIのおすすめ」の形で影響を与えるのでとても強力です。
AI時代のSEO(検索エンジン最適化)
SEO(検索エンジン最適化:Search Engine Optimization)とは、検索システムを通じて利用者とブランドを結びつける取り組みです。自然検索や、AIによる概要やAIモードなどのAI検索、また生成AIチャットなどの出力結果に自社やそのブランドを露出させ、見込客との接点を増やします。
AI時代にも変わらないSEOの目的は、答えを探している見込客があなたのブランドを見つけられるようにすることです。見込客があなたのブランドを見つける場所は、検索結果に並んだリンクから、AIが生成する回答へと変化しつつあります。しかしどちらの場合もあなたがすることは、人々からの信頼をウェブ上に可視化することです。
SEOが自社でできる簡単3ステップ
検索エンジンやAI検索の仕組みは、世間の声をウェブ全体から集計する人気投票です。ここでいう「票」とは、SNSやブログでの好意的なクチコミ、専門家やメディアによる紹介、ECサイトの売れ筋ランキング、店名や会社名で検索された回数、自社のウェブサイトへの外部からのリンクといった、外部の人々の支持や行動のウェブ上の痕跡です。
検索やAIの出力は人気投票ですので、それらに「おすすめの会社」を尋ねたときの回答は「あなたと同じようなニーズを持つ人たちからいま多くの票を集めている会社はここです」というものです。簡単に表現すれば検索結果の上位やAI回答での推薦を目指すSEOは「ネット上でたくさんの人から支持投票(良い評判)を集めること」だと言えます。
SEOで実施する内容に特別なことはありません。営業や接客といった日常業務の延長です。その前段階としてサイトの土台を整え、サイトに一通りの情報を掲載する作業がありますが、それらは一時的なものですから一気に片付けておきましょう。
SEOは下記の3段階で完成します。このうち継続的な実施が必要なのは1番目の「AI検索のSEO」だけです。2番目に挙げた「自然検索のSEO」は、一通り実施すれば日々の取り組みは必要ありません。また3番目に挙げた「土台を作るSEO」はサイトに重大な不具合がなければ実施する必要がなく、実施する場合でも頻繁な実施は必要ありません。
- AI検索のSEOは「知名度と評判の見える化」 —— AI検索の結果では、AIが回答の中であなたの会社や製品やサービスを推薦する機会を増やします。検索結果画面の中でユーザーの意思決定を助け、来店や問い合わせや購買を促進します。
- 自然検索のSEOは「自社についての情報提供」 —— 従来の自然検索の結果では、あなたのウェブページが検索結果の上位に表示される機会を増やします。検索結果画面に表示されたリンクのクリックによる検索流入の増加を促進します。
- 土台を作るSEOは「サイトの不具合の解消」 ── 足元の技術的な問題を取り除いてSEOの土台をつくります。ただしこれが必要になるのは、主要なページが検索結果に表示されない場合や、ページの読み込みが極端に遅いような場合だけです。
AI検索のSEOは「知名度と評判の見える化」
AI検索とは、ユーザーの質問に対してAIが複数の情報源を元に回答を生成する検索サービスです。その代表例は「AIによる概要」や「AIモード」です。このAI検索でユーザーの検索行動は変わりました。従来のユーザーは探している情報があるURLを求めて検索していましたが、現在のユーザーの多くはAIが提示する回答を求めて検索しています。
AI時代のSEOでは「自分で何を言うか」にはあまり意味がなく、「他者にどう語られるか」が重要です。外部の第三者による好意的なクチコミや報道を獲得するために積極的に動きましょう。
この状況を受けてAIが生成する回答の中で自社がおすすめされることを狙うのがAI検索のSEOです。AIが特定の企業や製品やサービスをおすすめとして紹介するときの根拠は、独立した第三者からの客観的な評価です。あなたの会社の知名度の高さや評判のよさや専門性や信頼性を、外部の独立した第三者によるウェブ上の証言で裏付けていきます。
ウェブ上の証言とは、マスコミや業界メディアでの報道、他社や顧客のブログでの紹介、XやInstagramなどのSNSでのクチコミなど、自社サイトの外側で第三者から好意的に言及されることです。これらを獲得するために、製品やサービスの質の向上はもちろん、広報やデジタルPR、接客や営業などの担当者による声かけなどを実施していきます。
自然検索のSEOは「自社についての情報提供」
自社サイトで必ず発信すべき情報は、自社の製品やサービスの仕様、事例、ヘルプとサポート情報、返品や補償など各種ポリシー、会社情報など、あなたの会社が発信しなければ他では得られない独自の情報です。これらはあなたの会社について調べている既存客や見込客にとって重要な情報であり、それらを検索で発見できる状態にしておきます。
あなたの製品やサービスや会社についての客観的な事実は、検索結果に表示されるだけでなく、AIを使ってそれらについて調べている人々の回答の情報源として引用されます。しかし情報が不足していたり不正確だったりすると、AIも正確な回答ができません。見込客や顧客が知りたい事実を正確に不足なく発信することが大切です。
自社で発信する自画自賛は検索エンジンにもAIにも信頼されませんが、仕様や事例など上述した客観的な情報は信頼され、検索結果にもAIの回答にも表示されます。不足なくきちんと発信しましょう。
自然検索のSEOに影響する要因
自然検索のSEOに影響する要因は下の表に示すように大別すると3種類あり、これらは総称してABCシグナルと呼ばれます。また、これらすべてに影響する信頼の指標をGoogleは検索品質ガイドラインの中でE-E-A-T(経験・専門性・権威性・信頼)と表現しています。これらは自社の市場における直接の競合が極めて強力な場合にだけ集中して取り組みます。
| 要因 | 概要 |
|---|---|
| オフページ要因 | ウェブサイト外部からの評価。製品やサービス、会社や店舗、ウェブサイトやコンテンツの作成者が、実際の人々からの評価を高めエンティティとブランドを確立する。またその証明として被リンク、言及、好意的な評判などを多く獲得する。 |
| オンページ要因 | ウェブサイト内部の最適化。そのトピックについての信頼できる専門家が独自の内容で、独自でない部分は出典を明記しながら、ユーザーの検索意図を満たす良質なコンテンツを作成する。またウェブサイトをアクセシブルに実装し、ユーザーにとってわかりやすく検索エンジンフレンドリーなデザインや内部リンク構造を提供する。 |
| ユーザー行動要因 | 実際のユーザーによる評価。実際のユーザーが高く評価し、検索意図が満たされたことを示す良好なユーザー行動や、指名検索を多く獲得する。 |
土台を作るSEOは「サイトの不具合の解消」
土台を作るSEOとは、技術的な問題を取り除いて検索エンジンやAIが情報を取得する基盤を整備する作業です。ただしこれが必要になるのは、主要なページが検索結果に表示されない場合や、ページの読み込みが極端に遅いような場合だけです。まずはごく簡単に、Google Search Console(サーチコンソール)を使って次の2点を確認してください。
- 「ページのインデックス登録」を確認し、サーバエラーやリダイレクトエラーなどのエラーが大量に報告されていないか確認してください。大量のエラーが報告されているなら修正しましょう。
- 「ウェブに関する主な指標」を確認し、不良URLが大量に報告されていないか確認してください。不良URLが大量にあり、かつ、ご自身の端末でサイトを操作してストレスを感じるほど反応が遅いなら修正しましょう。
クロールエラーが放置されておらず、また、重要なページがきちんとインデックスされている状態で、サイトが極端に遅くないなら、土台作りはそれで十分です。マイナス要因がまったくないサイトはなく、些細なマイナス点に神経質に対処する必要はないからです。問題への対処はほどほどのところでやめてしまっても影響はありません。
中小企業がSEOで勝つための秘訣
中小企業には中小企業の戦い方があります。それはSEOでも同じです。中小企業は限られたリソースを有効に活かすために「どう転んでも事業にプラスになる施策」を選ぶ必要があります。また、勝ちやすい市場を選んで確実に勝っていくことも必要です。そして経営者自身が主導することで全社が一丸となってスピーディーに進めていくことです。
一石で二鳥も三鳥も狙う施策に集中する
中小企業はSEOのための人手や費用や時間が乏しいのが普通です。限りあるリソースを無駄なく有効に活用するために、常に一石で二鳥も三鳥も狙いましょう。自然検索とAI検索、そして既存のビジネスにも有効な取り組みを優先するのです。次の3点は検索エンジンやAIやSEOがなかったとしてもすべての企業が当然に取り組む最優先課題です。
- 利用者が他者に語りたくなる体験を届ける —— 利用者がSNS投稿やクチコミ投稿をしたくなるように工夫を凝らします。製品やサービスの品質を高めることはもちろんですが、お客さまにSNS投稿やクチコミ投稿をお願いすることや、お客さまの投稿を補助すること、また、何らかの驚きを演出することなど、できることは多くあります。
- 御社ならではの独自の情報を発信する —— 製品やサービスの仕様や、顧客の成功事例、会社情報や店舗情報、サポート情報やよくある質問など、他者が発信することのない自社や自社商品についての独自の情報は、検索結果に露出するだけでなくAIの情報源にもなります。まずは自社や自社商品についての情報を不足なく発信しましょう。
- 広報とデジタルPRで知名度と評判を高める —— 自然検索もAI検索も人々も、企業による自画自賛よりも、独立した第三者によるクチコミや報道を信頼します。そうしたクチコミや報道を増やす広報とデジタルPRは、自然検索のSEOでもAI検索のSEOの両方で御社を有利にします。広報、社交、渉外、営業、接客など、社外との接点のすべてを活用しましょう。
中小企業が効率よくSEOを成功させるためには、取り組む施策を正しく選ぶとともに、効率が悪く短命な施策に手を出さないことが重要です。取り組む施策を選ぶ間違いのない判断基準は「その施策は自社の知名度や評判を高めることにつながるか」あるいは「その施策はクチコミや報道を生むきっかけになるか」といというものです。
中小企業は細かなSEO施策を手当たり次第に実施するほどの潤沢なリソースはありません。「どう転んでも事業にプラスになること」に集中することがSEOを成功させる秘訣です。
条件を絞り込んだ狭い市場で勝ちにいく
検索エンジンやAIは、特定の地域でおすすめのお店や、特定の分野でおすすめの製品のように、市場を狭く定義した質問を得意としています。狭い市場での細かく条件を指定した質問には、大きな市場での曖昧な質問よりもはるかに適切な回答を返します。僕たち中小零細企業は、そうした狭い質問で勝てればそれで十分です。
ここで例をひとつ見てみましょう。Google検索のAIによる概要です。次の画像は僕が提供するサービスをAIによる概要が推薦している例です。この画像で「中小企業向け」や「定額制」と指定しているように、条件を具体的に伝えることで、零細企業である僕の会社もAIによる概要に推薦してもらうことができます。

一方で、条件を指定せず、大まかに「おすすめのSEOコンサルティングは?」と質問すれば、大手SEO事業者が大手企業に提供するような立派なサービスが推薦されます。その中に僕のような零細企業を押し込むことは現実的ではありません。しかし中小企業は、大企業のように世間一般での知名度と評判を高める必要はありません。
中小企業は自社の条件に合うクチコミを集めることで、その条件での質問の回答で推薦されることを狙います。自社が対象としている狭い市場の中での知名度と評判を高めるだけで十分に勝っていけるのです。中小企業は特定の狭い専門分野に特化するか、特定の地域に密着するか、その両方を選択することが有効な戦略です。
目標は、特定の狭い分野や特定の地域など自社が対象とする狭い市場の中で、自社とよく似た特徴を持った直接的な競合を知名度と評判で上回ることです。
自社が対象としている狭い市場の中だけで知名度と評判を向上することは実現可能な目標です。「やるかやらないか」また「自社に合ったやり方を見つけられるか」だけの問題です。知名度と評判の向上は商売に必須のものですから、取り組めばSEOだけにとどまらない多面的な効果があり、半年や一年といった中期で目に見える結果が得られます。
検索やAIが無視できない存在になる
検索エンジンやAIは現実社会で実際に支持されているものを無視することはできません。僕たちがやるべきことを端的に言えば「検索エンジンやAIが無視できないだけの知名度と評判をウェブ上に築く」ことです。あなたや御社が個性を発揮できる取り組みに集中し、圧倒的な存在感を築きましょう。
以下の情報源もおすすめです。ぜひご活用ください!
御社がウェブ上での存在感を築くヒントはこのサイト以外にもあります。中小企業向けに専門用語を使わずに書いた僕の近著「AIで集客する仕組み」は、AI時代のSEOを体系的に身につけることができます。また、メールアドレスだけで登録できる僕のニュースレターでは最新の話題を毎週配信しています。これらの活用もおすすめです。

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