適切なアンカーテキストは、リンク元とリンク先の両方の内容に関連があり、リンク先の内容を端的に説明し、ユーザーにとって魅力的で、コンテンツの中で自然に使われます。このようなアンカーテキストはユーザーエクスペリエンスを高め、Googleにはリンクされたページ間の関係性や文脈を伝えることで、サイトのSEO効果を高めます。
目次
アンカーテキストとは
アンカーテキスト(Anchor Text)またはリンクテキスト(Link Text)とは、ウェブページに設定されたリンクのテキストを指します。ハイパーリンク内のクリックできるテキストであり、HTMLのコードで言えば「a要素の内容」です。以下のコード例では、文字列「ボーディー有限会社の会社概要」の部分がアンカーテキストです。
<a href="https://www.bodhi.co.jp/about">ボーディー有限会社の会社概要</a>
上記のコードはブラウザ上では「ボーディー有限会社の会社概要」のように表示され、文字列はリンクとして機能します。このリンクをクリックすると、ユーザーはリンク先に指定されたページ(上記コードの例では「https://www.bodhi.co.jp/about」がそれです)に移動します。
役割
アンカーテキストはユーザーと検索エンジンに対してリンク先の情報を伝える役割を持ちます。アンカーテキストによって、ユーザーに対してはユーザーエクスペリエンスを向上させ、検索エンジンに対してはコンテクストのつながりを伝えます。Googleは「SEOスターターガイド」の中で、アンカーテキストについて次のように説明しています。
リンクテキストとは、リンク内に表示されるテキストです。このテキストはユーザーや Google に対して、リンク先のページについての情報を伝えます。
ページ上のリンクには内部的なリンク(サイト上の他のページを参照しているもの)もあれば、外部的なリンク(他のサイトのコンテンツにつながるもの)もあります。どちらの場合も、アンカー テキストが効果的であればあるほど、ユーザーはナビゲートしやすくなり、Google はリンク先のページを理解しやすくなります。
適切なアンカー テキストがあれば、ユーザーと検索エンジンはリンクされたページの内容を簡単に把握できます。
効果的なリンクテキストを記述する | Google 公式 SEO スターター ガイド[1]
適切なアンカーテキストがあれば、ユーザーと検索エンジンはリンク先のページの内容を簡単に、そして的確に把握できます。このためアンカーテキストの最適化は内部リンクのSEOで大きな効果を発揮します。リンク先の内容の的確な把握は、ユーザーと検索エンジンにとってそれぞれ次のような意味を持ちます。
- ユーザーに対して: リンク先のページの内容が自分のニーズに合っているか判断しやすくすることで、リンク先に移動しやすく(またはリンク先を無視しやすく)する。
- Googleに対して: リンク元のページとリンク先のページの関連性や文脈をふまえることで、リンク先のページにより詳しい情報や文脈を付け加えることができる。
SEO効果
適切なアンカーテキストによってリンク先に移動するユーザーが増えれば、直帰率が低下し、滞在時間が伸びます。これらの変化を検索エンジンは良好なユーザーエクスペリエンスのシグナルとして受け取ります。これにより、リンク元ページ、リンク先ページ、そしてそれらを含むサイト全体で順位向上の効果を期待できます。
- リンク元ページの評価の向上 – 適切なアンカーテキストを使うことでリンク元ページのユーザーエクスペリエンスが向上し、リンク先ページへの移動を通じてサイトでの滞在時間が延びる。Googleはそのシグナルを受け取り、リンク元ページの順位を上げるSEO効果が期待できる。
- リンク先ページの評価の向上 – リンク元ページで設定されたリンクの文脈やアンカーテキスト文字列がリンク先ページに引き継がれ、検索結果の順位を上げるSEO効果が期待できる。
- サイト全体の評価の向上 – 適切なアンカーテキストを使うことで、検索エンジンはウェブページの構造や関連性を正確に理解しやすくなり、サイト全体(より正確にはサイト内で一連のリンク関係をもつクラスター)の評価を上げるSEO効果が期待できる。
アンカーテキストのSEO効果を十分に得るためには、関連性が高くユーザーの興味をひくリンクが必要です。この意味で、適切なアンカーテキストを記述することは重要です。アンカーテキストの種類をふまえ、適切なものを選び、工夫を凝らして記述していく手間をかけるだけの価値は確実にあります。
種類と例
アンカーテキストの種類には以下のものがあります[2][3]。どれを選択するのがベストかは一概には言えませんが、どれもよく使われており、リンクする文脈に応じて使い分けることができます。
- 完全一致 – SEOのターゲットにしているキーワードまたはキーフレーズと完全に一致するアンカーテキスト。「SEOコンサルティング」「レンタルサーバー」「クレジットカード」など。ナビゲーションメニューなどの内部リンクでよく使われる。
- 部分一致 – SEOのターゲットにしているキーワードまたはキーフレーズ以外の単語を含むアンカーテキスト。「私が提供しているSEOコンサルティング」「私が使っているレンタルサーバー」「長年愛用しているクレジットカード」など。
- コンテキスト – キーワードやキーフレーズではなく、コンテキストに関連付けられたアンカーテキスト。SEOコンサルティングを指して「私の仕事」、レンタルサーバーを指して「私も使っている」、クレジットカードを指して「決済手段」など。
- ページタイトル – リンク先ページのタイトルタグの内容をそのまま使ったアンカーテキスト。参照リンクや出典表示などでよく使われる。
- ブランド – ブランド名や企業名、サイト名を使ったアンカーテキスト。「Google」や「トヨタ」など。リンク先はトップページとは限らず、特定のページにリンクすることもある。
- ジェネリック – リンクされたページを説明しない一般的な単語をアンカーテキストに使うもの。「クリック」「こちら」「公式サイト」「詳しく見る」「続きを読む」「もっと見る」など。
- ネイキッドURL – リンク先のURL文字列を使ったアンカーテキスト。「google.com」「www.google.com」「https://www.google.com/」など。ニュースレター(メルマガ)やフォーラム(電子掲示板)からの転載記事でよく使われる。
- 画像 – イメージリンクにおけるimg要素のalt属性値。Googleはイメージリンクにおいてはimg要素のalt属性値をアンカーテキストと同様に扱う[4]。バナーやCTAでよく使われる。
上記のうち完全一致は、グローバルナビゲーションやフッターナビゲーションなどのナビゲーションメニュー内ではよく使われており、そのような使い方なら問題はありません。しかし本文中で濫用すれば後述する過剰最適化の危険があるため要注意です。また外部リンクに使用する場合にはさらに注意が必要で、できれば避けたほうがいいでしょう。
なお筆者の個人的な嗜好では、本文中では部分一致かコンテキストを好みます。特にコンテキスト型のアンカーテキストは、ごく普通の文章の中にリンクを設定するもの(つまりリンクがなかったとしても文意が通じる)ですので、記事の公開後に内部リンクを追加する場合などに文章の修正が不要というメリットがあり、多用する傾向にあります。
アンカーテキストの書き方
以下で解説するアンカーテキストのSEOにおけるベストプラクティスのほとんどは、ページのメインコンテンツから同じサイト内の別のページへのリンクを想定しています。グローバルナビゲーションやフッターナビゲーションなどのナビゲーションリンクについては「リンクの数を最小限に抑える」のがベストプラクティスです。
また外部リンクについては「無関係な内容のページにリンクしない」や「キーワード完全一致のアンカーテキストを使わない」などの注意点はあるものの、普通にしていればそれほど神経質になる必要はありません。アンカーテキストは気にせず、外部の有用な情報ソースにはどんどんリンクすることで、ハブスコアを高めることができます。
リンク先を端的に説明する
アンカーテキストは短く簡潔に説明的に書くという注意は、Googleが繰り返しアナウンスしている重要事項です。特に、リンク先の内容を説明するものにするというアドバイスは、ユーザビリティに直結するものですから、必ず守るべきものだと言って差し支えなさそうです。
リンクテキストを書くには、リンク先の内容について説明する短いフレーズを使用します。
Link text | Google developer documentation style guide[5]
- 内部リンクのアンカー テキストは簡潔で、リンク先のページに関連するものにしてください。
サイトリンクに関するおすすめの方法 | Google 検索セントラル[6]
説明的なアンカーテキストを書くべきだというアドバイスには単純に従えばよい一方で、「短く簡潔に」については注意が必要です。ジョン・ミューラー[7]の説明[8]によれば、むしろ長いアンカーテキストが追加のコンテクストを提供し、文脈によってはよりよい結果になる可能性があるとのことだからです。
つまり「短く簡潔に」というアドバイスのポイントは「何文字(何語)以下がよい」といった単純ものではなく「キーワードを詰め込んで不自然に過剰最適化されたアンカーテキストを避ける」ことにありそうです。ユーザーの役に立ち、自然なものであるなら、長いアンカーテキストを使っても問題ないでしょう。
スタイルをわかりやすくする
ユーザーにとってそれがリンクであるとわからないアンカーテキストは、ユーザーがリンクを利用できないため、ユーザーに価値を提供しません。それがリンクであることが視覚的な情報から明確にわかることは、ユーザーエクスペリエンスの観点から極めて重要です。Google公式SEOスターターガイドには以下のような説明があります。
ユーザーが通常のテキストとリンクのアンカー テキストを簡単に区別できるようにします。ユーザーがリンクを見逃したり、誤ってリンクをクリックしたりすると、コンテンツの有用性が低くなります。
見つけやすいリンクの書式を設定する | Google 公式 SEO スターター ガイド[9]
基本的なユーザビリティのルールに則るなら、アンカーテキストの書式は次のようになります[10]。これらのユーザビリティ要件に違反してでも優先すべき合理的な理由がある場合(想像がつきませんが)を除いて、必ず従っておくべきSEOに留意したウェブデザイン上の大原則です。
- アンカーテキストに色(青色系統が標準)をつけ、下線を引く。
- 訪問済みリンクと未訪問リンクには異なる色(訪問済みリンクの標準は紫色系統)をつける。
- 紛らわしくなることを避けるため、アンカーテキストに使用している色をアンカーテキストではない通常のテキストに使わない。
- 紛らわしくなることを避けるため、アンカーテキストではない通常のテキストには下線の装飾を使わない。
リンク先の魅力を伝える
リンク先がユーザーの意図に合う魅力的なものであることがわかるアンカーテキストは重要です。ユーザーがリンク先に移動すれば、直帰率が下がり、リンクが内部リンクだった場合にはサイト上での滞在時間が延びます。これらは良好なユーザーエクスペリエンスの指標であり、こうしたシグナルはSEO効果を持ちます。
外部リンクだったとしても、その参照先が信頼できる情報源だった場合、検索を終わらせる効果と、ハブスコアを向上させる効果が期待でき、いずれの場合も自分のサイトのSEO効果を高めます。可能であれば、外部リンクにも魅力的なアンカーテキストを設定するといいでしょう。
キーワードを先頭に配置する
Nielsen Norman Groupの研究[11]は大規模なアイトラッキング調査によって、ユーザーはリンクの最初の2語を主に見ながらページを流し読みすることを明らかにしています。重要な単語をリンクの先頭付近に配置することで、リンクがユーザーの目に留まりやすくなる効果があるのです。この点についてGoogleも次のように説明しています。
リンクテキストがターゲットページの説明である場合、以下のガイドラインを使用して、読者がコンテンツをスキャンして、リンクが関連性があるかどうかを判断できるようにします。
- リンクテキストは、可能な限り短くする。文章や短い段落のような長いリンクテキストは書かない。
- 重要な単語はリンクテキストの先頭に配置する。
- 同じ文書で、異なるターゲットページに同じリンクテキストを使用しない。
Link text | Google developer documentation style guide[12]
キーワードを先頭付近に配置するという推奨事項は、筆者個人的には日本語の場合は神経質に守る必要はなさそうに思います。視線移動が大きくなりがちな英文では影響が大きそうですが、日本語のように視線移動の小さな言語の場合には大きな差は出にくいのではないかと推察するためです。しかし自然に適用できる場合には従うとよいでしょう。
周囲の文脈に沿ってリンクする
Googleはリンクの前後の文脈を取得してリンク先との関係性を理解します。ジェネリックやネイキッドURLのアンカーテキストでも問題なくリンク先を理解できるのはこのためです。このことから、Googleはアンカーテキストの前後の文脈に留意することで、より多くの、または詳しい文脈をGoogleに伝えられることがわかります。
リンクには文脈を持たせることを忘れないようにしましょう。リンクの前後の単語は重要なので、文章全体に気を配ります。
リンクを隣り合わせに配置しないでください。読者がリンクを区別するのが難しくなるだけでなく、各リンクの周囲のテキストが失われるからです。Write good anchor text | Google Search Central[13]
アンカーテキストの前後の文脈を見ることは、人間のユーザーであれば当然にしていることです。そして近年のGoogleは自然言語処理が発達しており、人間のユーザーと同様の処理ができるようになりつつあります。ただし二重否定などの複雑な構文や皮肉を理解するのは困難でしょうから、リンクの前後の文脈は素直なものにしておくとよいでしょう。
内部リンクを追加する
サイト内部のリンクを増やすことで、最適化されたアンカーテキストを使用する機会を増やし、アンカーテキストによるSEO効果を最大化することができます。あるページと関連したテーマを持ち、ユーザーにとって役立つ情報源になる別のページがあるなら、内部リンクを追加しましょう。Googleは次のように説明しています。
内部リンク: 自分のコンテンツの相互リンク
通常、リンクは外部のウェブサイトを指すという意味で考えるかもしれませんが、内部リンクに使用されるアンカーテキストにもっと注意を払うことで、人々とGoogleの両方が、あなたのサイトをより簡単に理解し、あなたのサイト内の他のページを見つけるのに役立ちます。
あなたが重要視するすべてのページは、あなたのサイト内の少なくとも1つの他のページからリンクされるべきです。自分のサイト上で、読者が特定のページを理解するのに役立つ他のリソースを考えて、そのページへのリンクを適切な文脈で設置してください。
Internal links: cross-reference your own content | Google Search Central[14]
読者にとって役に立ち、適切な文脈を与えることができる内部リンクを増やすことで、ユーザーやGoogleにサイト内の別のページを発見する機会を作ることができます。この結果、ユーザーの滞在時間や満足度は向上し、Googleはサイト内をくまなくクロールできるだけでなく、より適切にスコアリングできるようになります。
過剰最適化を避ける
アンカーテキストへのキーワードの詰め込みは絶対に避けましょう。過剰最適化は百害あって一利なしです。キーワードの詰め込みがあってもGoogleは以前のようにペナルティを課す(アルゴリズムによる減点をする)ことはなくなり、今では単に無視するだけのことが多いようですが、ユーザーから見て不自然なリンクは信頼を損ないます。
できるだけ自然に書くようにし、リンク先のページに関連するすべてのキーワードを詰め込みたい衝動に負けないようにしましょう(キーワードの詰め込みはスパムポリシーに違反することを忘れないでください)。アンカーテキストにキーワードを無理やり詰め込んでいるように感じるなら、おそらくそれは過剰です。
Write good anchor text | Google Search Central[15]
アンカーテキストへのキーワードの詰め込みだけでなく、あらゆる過剰最適化を避けましょう。内部リンク関連で言えば、文脈を無視した無関係なページへのリンクや、ページ間の過剰な相互リンクなどです。Googleを混乱させること、ユーザーからの信頼を損なうことに、プラスの効果はありません。
まとめ
SEOの観点から適切なアンカーテキストは、リンク元とリンク先の両方の内容に関連があり、リンク先の内容を端的に説明し、ユーザーにとって魅力的で、コンテンツの中で自然に使われます。また、アンカーテキストには通常のテキストとは異なる書式(多くは青色文字に下線)を設定することで、通常のテキストと視覚的に区別できます。
これらはユーザーエクスペリエンスを高めます。サイト上でのユーザーの滞在時間を延ばし、直帰率を下げ、検索エンジンに良好な閲覧体験のシグナルを送り、SEO効果にプラスの働きをします。また検索エンジンにページ間の関連性を伝えるとともに、リンク先ページに追加のコンテキストを与え、検索順位の向上に貢献します。
特に内部リンクの最適化において、アンカーテキストが果たす役割は大きなものです。内部リンクのアンカーテキストを見直して適切なものに書き換えたり、関連するページ間で内部リンクされていないページを探して適切なアンカーテキストでリンクするなどの施策が有効です。これらに留意しながら、アンカーテキストのSEOを進めていきましょう。