検索意図とは、ユーザーが入力した検索クエリ(検索キーワード)について、その検索クエリを入力した理由、またはその背後にある目的のことを言います。この記事では、ユーザーの検索意図の種類を詳しく見ていくとともに、その代表的な分類法を紹介します。
目次
検索意図とは
検索意図とは、ユーザーが入力した検索クエリ(検索キーワード)について、その検索クエリを入力した理由、またはその背後にある目的のことを言います[1][2]。Googleは検索品質評価ガイドラインの中で、検索意図(サーチインテントまたはユーザーインテントとも)を次のように説明しています。
ユーザーインテント: 人がクエリを入力するとき、その人は何かを成し遂げようとしている。この目的をユーザーインテントと呼ぶ。
Google検索品質評価ガイドライン2022年12月版[3]P83
ユーザーが検索ボックスにクエリを入力するときには、その特定のクエリを入力した理由があります[4]。その「特定のクエリを入力した理由」が検索意図です。そして現在の検索結果におけるランキングは、検索意図とページ(またはエンティティ)との一致度によって作られているため、SEOを実施していくうえで検索意図は極めて重要な役割を果たします。
SEOでの検索意図の役割と調べ方
初期の検索エンジンのランキングは、検索キーワードの文字列とページ内の文字列の一致度によって決まっていました[5]。しかし現在のGoogle検索では、検索意図とページ(またはエンティティ)の一致でランキングが決まります。検索意図を満たしていないページが上位にランク付けされることはありません[6]。
以下のスクリーンショットはキーワード「ホワイトボード」の検索結果で、画面には通販サイトのカテゴリページばかりが並んでいます。これはGoogleが機械学習を通じて、このキーワードの検索意図はトランザクショナル・インテントであり、より詳しくは「通販サイトのホワイトボードのカテゴリを見たい」であると判断したことを示しています。

検索結果がこのように商品カテゴリページで占められている場合、たとえば「ホワイトボードとは?」のようなコンテンツを上位に表示させることは不可能です。なぜなら「ホワイトボードとは?」のようなインフォメーショナルなコンテンツでは、Googleが判断した検索意図(通販のカテゴリページが見たい)とコンテンツが一致しないからです。
以下のスクリーンショットはキーワード「縦型洗濯機」の検索結果で、画面にはおすすめリストばかりが並んでいます。これもGoogleが機械学習を通じて、このキーワードの検索意図は後述するコマーシャル・インテントであり、より詳しくは「おすすめの縦型洗濯機のリストやランキングが見たい」であると判断したことを示しています。

このように、検索結果の上位に表示されるページのタイプは、Googleが判断したそのキーワードの検索意図によって決まります。Googleが判断した検索意図と合わないタイプのコンテンツを用意しても、検索結果の上位に表示させることは不可能なのです。このようなことから、SEOにおいて検索意図は極めて重要な要因となっています。
そのキーワードをGoogleがどんな検索意図のキーワードであると判断しているかを調べる方法は、実際に検索してみて、検索結果に表示されるページのタイプを見ていくことです。Googleが判断している検索意図ごとに特徴的な検索結果が表示され、それを確認することで、Googleがその意図をどう判断しているかがわかります。
- インフォメーショナル・インテント – 検索結果の上位に「〜とは?」や「〜の方法」といった情報を伝えるページが並ぶ。
- ローカル・インテント – 検索結果の上部にローカルパック(地図とキーワードに関連のある施設のリスト)が表示される。
- コマーシャル・インテント – 検索結果の上位に「おすすめランキングn選」といったリストコンテンツやレビュー記事などが表示される。
- トランザクショナル・インテント – 検索結果の上位にはECサイトの商品ページやカテゴリページが並び、商品検索結果や検索連動型広告が表示される。
たとえばあなたが家電品のECサイトを運営していたとして「縦型洗濯機」のキーワードであなたの店の商品ページや商品カテゴリを上位に表示されられれば素晴らしいでしょう。しかしそれは不可能です。Googleはこのキーワードを商業調査のためのコマーシャルクエリであるとみなしており、すぐに商品を買うことを意図したトランザクシャルクエリとはみなしていないからです。
また同様に、あなたがアフィリエイトサイトを運営していたとして「ホワイトボード」のキーワードであなたのサイトの「おすすめのホワイトボード12選」のページを上位に表示させられれば素晴らしいでしょうが、それも不可能です。Googleはこのキーワードを、すぐに買うトランザクショナルクエリとみなしており、おすすめ商品を調査しているコマーシャルクエリとはみなしていないからです。
SEOで検索意図が重要な理由
キーワードの検索意図を知ることは、現在のSEOの前提でありすべての土台です。前項でも述べたとおり、ある特定のクエリについてGoogleが判断した検索意図に合わないコンテンツを用意しても、上位に表示させることはできないからです。特定のクエリで上位に表示させたいなら、Googleが判断した検索意図に沿っている必要があります。
たとえばGoogleで「デルモンテ ケチャップ」と検索[7]してみると、上位に表示されるのは公式サイトを除いてすべてショッピングサイトであり、歴史やレシピではありません。このクエリをGoogleはトランザクショナルな意図だと判断しており、したがって歴史やレシピといったインフォメーショナルなコンテンツでは意図が合わないのです。
SEOにおいて検索意図が重要な理由は、検索結果の上位に表示し、露出を高めるためには、Googleが判断した検索意図に合ったコンテンツを用意する必要があるからです。したがって現在のSEOでは、狙うキーワードを決めるときには、そのキーワードで実際に検索し、Googleがそのキーワードをどんな意図だと判断しているかを確認する必要があります。
ユーザー意図と検索意図の違い
「ユーザー意図(ユーザーインテント)」と「検索意図(サーチインテント)」は多くの場合ほとんど同じ意味の用語として使われています。しかし厳密には、以下のような違いがあります[8]。
- ユーザー意図(ユーザーインテント)– 連続した検索行動を通じてユーザーが最終的に達成したい目標のこと。
- 検索意図(サーチインテント)– 最終的な目標に向かう途中で繰り返される個々の検索において、それぞれの検索の背後にある意図のこと。
これをふまえ、この稿では基本的に「検索意図」を用います。検索露出を増やすためには個々の検索の意図に合ったコンテンツを提供していくことが必要であり、たとえユーザーの最終的な目標の達成に寄与するコンテンツだったとしても、個々の検索の意図と合わないコンテンツでは検索結果に表示されないからです。
検索エンジン側による検索意図の分類
検索エンジンはクエリを正確に処理するために、クエリの意図を判断できる必要があります。検索意図の分類は当初、検索エンジンの開発側の視点で、クエリの正確な処理のために考えられました。その後、検索マーケティングの視点からの有用な分類が登場していきますが、まずは検索エンジン側の視点による分類を見ていきます。
ブローダーによる基本の3分類
検索意図を「ナビゲーショナル」「インフォメーショナル」「トランザクショナル」の3種類に分類する考え方は、2002年にAltavistaの研究担当副社長(当時)のアンドレイ・ブローダー[9]が発表した論文「A taxonomy of web search[10]」で示されました。その中でブローダーは検索意図について次のように説明しています。
ウェブの文脈における「クエリの背後にある必要性」は、情報分野に関連したものであるとは限らない。そこで我々はクエリを、その意図だけに基づいて次の3種類に分類する。
- ナビゲーショナル・クエリ– 特定サイトに到達することを目的とする。
- インフォメーショナル・クエリ – 一つまたは複数のウェブページに存在すると想定される情報の取得を目的とする。
- トランザクショナル・クエリ – Webを利用した何らかの活動を行うことを目的とする。
「A taxonomy of web search」Andrei Broder[11]
発表から20年以上が経った現在でも、この分類は検索エンジン側から視点で見るユーザーの検索意図の基本として用いられています。時代や環境の変化に応じて変化(現実の場所に訪問することを意図するVisit-in-personインテントが追加されるなど)しているものの、いまも検索意図の基本はブローダーの3分類であることに変わりはありません。
品質評価ガイドラインに見る変遷
検索品質を評価するためには、ユーザーの検索意図の理解は欠かせません。Google検索品質評価ガイドライン[12]の初期バージョンである2012年11月のVersion 1.0[13]では「2.4 ユーザーインテントの分類:アクション・インフォメーション・ナビゲーション ─『Do-Know-Go』」の項で、ユーザーの検索意図を次のように説明しています。
- アクション・インテント – ソフトウェアをダウンロードする、オンラインでゲームをする、花を贈る、面白いビデオを探すなど、ユーザーは目標を達成したり、活動に取り組みたいと考えている。これらは「Do」クエリで、ユーザーは何かをしたがっている。
- インフォメーション・インテント – ユーザーは情報を見つけたがっている。これらは「Know」クエリで、ユーザーは何かを知りたがっている。
- ナビゲーション・インテント – ユーザーはウェブサイトやウェブページに移動したがっている。これらは「Go」クエリで、ユーザーは特定のページに行きたいと考えている。
Google検索品質評価ガイドライン Version 1.0[14] 2.4 Classification of User Intent
上記のあと急速にスマホシフトが進行し、2015年にGoogleはマイクロモーメント(後述)を提唱しました。これを経た検索品質評価ガイドライン2016年3月版[15]では「Visit-in-personクエリ(訪問型クエリ)」が追加されました。また、Doクエリにはデバイスアクションを含むように変更されました。
- Knowクエリ – その一部はKnow Simpleクエリ(訳注:天気や株価や試合結果のような単純な質問)である。
- Doクエリ – その一部はデバイスアクション・クエリ(訳注:一例として「OK Google、電気を点けて」が挙げられる)である。
- ウェブサイト・クエリ – 特定のウェブサイトやウェブページを探している。
- Visit-in-personクエリ(訪問型クエリ)– 一部は特定の会社や組織を探しており、また一部は業種から探している。
Google検索品質評価ガイドライン2016年3月版[16]12.7 Understanding User Intent
この後は数年にわたって変更はありませんでしたが、2022年7月版[17]で更新され、Doクエリの記述が「その一部はデバイスアクション・クエリである」から「ユーザーが目標を達成するため、または活動に取り組むためのクエリである」と変わりました。DoクエリはVersion 1.0 に戻った形です。ここまでのGoogleによる分類をまとめると次のようになります。
検索意図の種類 | 別名 | 内容 |
---|---|---|
インフォメーション | Knowクエリ | ユーザーは何かを知るために情報を見つけたがっている。インフォメーショナルクエリ。一部はKnow Simpleクエリ(天気や株価や試合結果のような単純な質問)である。 |
アクション | Doクエリ | ユーザーは目標を達成したり、活動に取り組みたいなど、何かをしたがっている。トランザクショナルクエリ。一部はデバイスアクション・クエリ(例:「OK Google、電気を点けて」)である。 |
ウェブサイト | Goクエリ | ユーザーは特定のウェブサイトや特定のウェブページに移動したがっている。ナビゲーショナルクエリ。 |
Visit-in-person | – | ユーザーは現実の場所に行きたがっていて、場所や経路を調べている訪問型クエリ(ローカル検索クエリ)である。その一部は特定の会社や組織を探しており、また一部は業種から探している。 |
ここまで紹介してきた各種の分類は、ユーザーの意図を推定してクエリを処理するという検索エンジンの運営側からの視点で分類されたものです。このためユーザー側の本来の意図とは異なってしまう部分があります。ユーザーはあくまでも、検索を通じて個人的な目的を果たすところに意図を持っているからです。
たとえばナビゲーショナルクエリは、クエリを正確に処理しようとする検索エンジンにとっては重要な検索意図の一つですが、ユーザーにとってはそれほど重要ではありません。AmazonやFacebookといった特定のサイトにアクセスすることそのものはユーザーの目的ではなく、ユーザーの目的は「その特定のサイトで何をするか」にあるからです。
検索エンジンの運営側からの視点での検索意図の分類は、ユーザーの意図に合ったコンテンツを提供するというマーケティング視点とは異なることに注意が必要です。次項からはマーケティング視点での分類を紹介します。
マーケティング視点での検索意図の分類
マーケティング視点では、ユーザーが検索するタイミングをユーザーとの接点を作るチャンスととらえます。ユーザーの検索意図を把握することで、ユーザーとの接点を作るチャンスを逃すことなく、ユーザーの目的に沿った適切なコンテンツを届けることができます。ここからは、こうしたマーケティング視線での分類を紹介します。
コマーシャル検索インテントを含めた4分類
ブローダーによる検索意図の3分類が発表されてからわずか4年後にあたる2006年に、マイクロソフトのホンファ・ダイらの研究チームは、商業的な意図が含まれる検索クエリを機械学習によって抽出するモデルを発表[18]しています。これが、検索意図にコマーシャル・インテントを含め、以下に示した4種類とする分類の始まりです。
- インフォメーショナル・インテント
- コマーシャル・インテント
- トランザクショナル・インテント
- ナビゲーショナル・インテント
コマーシャル・インテント(またはコマーシャル・クエリ)とは、インフォメーショナル・クエリとトランザクショナル・クエリが重なる部分に位置し、商取引のための調査を意図しています[19]。別の言い方として、商業調査型インテント(Commercial investigation intent)と呼ぶ[20]ことも一般的です。その例は次のようなものです。
- 自分に合う商品やサービスを探したい
- 売れ筋の商品やサービスのランキングを知りたい
- 購入を検討している商品やサービスの比較をしたい
- 商品やサービスの評判を知りたい
- 商品やサービスの価格帯を知りたい
- 商品やサービスの使い勝手を知りたい
- 販売者の評判を知りたい
- サポート情報や保証情報を知りたい
コマーシャル・インテントを含めて検索意図を4種類とする分類方法は、以下の図に示したようにマーケティング・ファネルとの相性が良いため、世界的には非常に人気が高い分類方法です。2010年代からは事実上、この4分類を用いるのが検索マーケティング業界におけるスタンダードとなっています。

この分類を用いることで、特にオンラインビジネスのように商圏の広いビジネスでは、コンテンツマーケティングや検索連動型広告の運用を計画的に実施しやすくなります。各インテントとマーケティングファネルの各段階、及びそれらの役割についてまとめたのが以下の表です。
検索意図 | ファネル | 役割の例 |
インフォメーショナル | 認知 awareness | 生活者の疑問を解消したり課題を解決するコンテンツを通じて、自社やその製品やサービスの存在を認知してもらう。 |
コマーシャル | 検討 evaluetion | 自社やその製品やサービスの魅力や優位性を伝えるとともに、比較や検討の材料を十分に用意することで、高く評価してもらう。 |
トランザクショナル | 転換 conversion | 広告キャンペーンを実施したり、強力なクロージングを行うコンテンツを用意するなどして、購入に向けた最後の一押しをする。 |
ナビゲーショナル | 維持 retention | カスタマーサクセスのための役立つコンテンツを継続的に発信し、継続的なサイト訪問から関係の維持・発展させていく。 |
コマーシャル検索インテントを組み込んだ検索意図の分類を用いることで、ファネルの各段階に応じた検索マーケティングを効率よく実施できます。具体的には、インフォメーショナル、コマーシャル、ナビゲーショナルの各段階にはコンテンツSEOで対応し、トランザクショナルの段階には各種の広告で対応するなどの施策が考えられます。
ローカル検索インテントを含めた4分類
2013年、Googleはウェブ検索結果に地図カルーセル(現在はローカルパックと呼ばれています)を挿入し、ローカル検索結果を表示するようになりました[21]。これを受けて、あらゆるローカルビジネスにとってローカル検索インテントは非常に重要なものとなり、検索マーケティングの分野もそれに対応しています。
店舗型であれ出張型であれ、地域に根ざした形で営業しているローカルビジネスは、前項で紹介したコマーシャル検索インテントを含む検索意図の4分類からナビゲーショナル・インテントを除き、代わりにローカル・インテントを含めた4分類を用いるようになりました。それは以下のようなものです。
- インフォメーショナル・インテント
- ローカル・インテント
- コマーシャル・インテント
- トランザクショナル・インテント
ローカル検索インテントとは、特定の地理的場所に関連する情報やビジネスを探す意図のことです[22]。地元の事業者を探すような場合、スマートフォンの位置情報を使用した検索は他の手段よりもはるかに効率的であるため、ローカル検索インテントは増加する一方です。この検索意図の例には次のようなものがあります。
- 自分に好みや条件に合った旅行先や観光地や店を見つけたい
- 目的地周辺の観光名所やホテルや飲食店を知りたい
- 近くで開催されるイベントを知りたい
- 自宅に出張してくれる事業者に依頼したい
- いまいる場所の近くのカフェやレストランに行きたい
- レストランや美容院を探して予約したい
- フードデリバリーを注文したい
前項で紹介したコマーシャル検索インテントを含む検索意図の4分類と同様、ローカル・インテントを含めた4分類もまたマーケティングファネルとの相性が良く、ローカルビジネスの検索マーケティングにおいては、このローカル・インテントを含めた検索意図の4分類がよく使われています。

ローカルビジネスがこの分類を用いることで、コンテンツマーケティングや検索連動型広告の運用を計画的に実施しやすくなります。各インテントとマーケティングファネルの各段階、及びそれらの役割についてまとめたのが以下の表です。各段階に応じたコンテンツ施策を考えるとよいでしょう。
検索意図 | ファネル | 役割の例 |
インフォメーショナル | 認知 awareness | 生活者の疑問を解消したり課題を解決するコンテンツを通じて、自店やその製品やサービスの存在を認知してもらう。 |
ローカル | 評価 appraisal | 距離や交通の便、営業時間、評判などの情報から訪問先の候補として残してもらい、購入に向けた細かな検討に進んでもらう。 |
コマーシャル | 検討 consideration | 自店やその製品やサービスの魅力や優位性を伝えるとともに、比較や検討の材料を十分に用意することで、高く評価してもらう。 |
トランザクショナル | 転換 conversion | 割引などのキャンペーンや、各種のイベントを実施したり、それらを広告によって告知するなどして来店や予約を促進する。 |
マイクロモーメント

2015年、Googleはマイクロモーメント(Micro-Moments)という概念を発表しました。現在の私たちは、何かを知りたい、したい、買いたいとき、すぐにスマートフォンに手を伸ばします。情報を探したり、地元のお店を見つけたり、タスクを完了したり、または何かを購入するためにデバイスを手に取る瞬間が「マイクロモーメント」です[23]。
「マイクロモーメント」とは、人々が「何かをしたい」と思い、反射的に目の前にあるデバイスで調べたり、購入したりという行動を起こす瞬間です。
生活者の意図を捉えるマイクロモーメント(Micro-Moments)[24]
手元にスマホがあることで、生活者のマイクロモーメントは飛躍的に増えました。この結果、マーケターにとっては、検索を通じて生活者との接点を作るチャンスが飛躍的に増えました。以下に示す Know-Go-Do-Buy という4種類のマイクロモーメントはそれぞれ、検索意図が発生する瞬間に対応しています。
- Knowクエリ(モーメント)知りたい瞬間 – 何かを知るために調べる瞬間。どこにいても、何をしていても、何かわからないことに出会った瞬間、私たちはそれを知るためにスマートフォンを手に取って検索します。
- Goクエリ(モーメント)行きたい瞬間 – 出先で近くのカフェを探したり、週末のディナーのための調度よいレストランを探したり、次の休暇の滞在先を選ぶなど、どこかに行こうとするとき、私たちはすぐに検索します。
- Doクエリ(モーメント)やりたい瞬間 – 新しいレシピを試したり新しい工具を使うなど、何か新しいことにトライするとき、事前に、またはトライしている最中に、私たちはそのやり方やコツを手元のスマートフォンで検索します。
- Buyクエリ(モーメント)買いたい瞬間 – 何かを買おうとしているとき、それが実店舗の中にいるときだったとしても、私たちは手元のスマートフォンで競合製品や価格を調べます。検索は私たちの買物と切り離すことができません。
私たち生活者はマイクロモーメントのたびに意思決定を繰り返し、そのたびに嗜好が形成されていきます。マーケターの目標はそれらの機会に対してできるだけ多くの影響を及ぼすことです。これは2011年にGoogleが提唱したZMOTに通じます。実際の購入や契約のずっと前の段階から、マイクロモーメントのたびに細かな意思決定が繰り返されているのです。
なおKnow-Go-Do-Buyのマイクロモーメントは、厳密には検索意図ではないことに注意してください。これを検索意図の分類に援用するアイデアは2018年に筆者が考案し、複数の講演で発表したもの(一例はWeb担当者Forumミーティング 2018 Autumn)です。しかしマイクロモーメントを検索意図の分類として用いるのは世界標準ではなく、世界標準はコマーシャル・インテントを含む4分類のほうです。
検索意図の一覧
ここまで、ブローダーの3分類(インフォメーショナル、ナビゲーショナル、トランザクショナル)と、ダイらが追加したコマーシャル、そしてマップパックの導入によってニーズが高まったローカルという検索意図について説明してきました。ここであらためて一覧にして紹介します。
- インフォメーショナル・インテント – 何かを知るために情報を見つける意図。意味や定義、方法やコツなどを探す。あらゆる検索意図の中で最も回数が多い。この検索意図に応えることによって、マーケターは生活者との接点を作ることができる。
- ナビゲーショナル・インテント – 特定のウェブサイトまたはウェブページに移動する意図。ユーザーの本来の目的は「移動先のサイトやページで何をするか」にあるため、ユーザーの意図としては意味が薄く、クエリを処理する検索エンジン側の視点での検索意図である。
- トランザクショナル・インテント – 訪問したサイト上で注文や決済やダウンロードなど何らかの行動をする意図。トランザクショナル・クエリを入力するときにはすでに行動する気持ちが固まっていることが多い(参考:ZMOT)。
- コマーシャル・インテント – 購買などの商取引のために調査する意図。商品やサービスの比較や、販売者の評判や信頼性を調べる。「コマーシャル調査インテント」とも。商品詳細ページやサービス詳細ページのほか「おすすめランキング」コンテンツも有効。
- ローカル・インテント – 地理的な場所に関連する情報や事業者を探す意図。旅行先で訪れる場所を検討したり、現在地近くのカフェを探したり、自宅に出張してくれる工事業者やフードデリバリーを探す。ローカルビジネスにとって最重要の検索意図。
また、これらの意図で検索をする瞬間がマイクロモーメントであり、それは「Knowモーメント(知りたい瞬間)」、「Goモーメント(行きたい瞬間)」、「Doモーメント(やりたい瞬間)」、「Buyモーメント(買いたい瞬間)」の4種類に分けらます。スマートフォンの普及によりマイクロモーメントは飛躍的に増え、マーケターにとっても消費者と接触を持つ機会が飛躍的に増えました。
まとめ
検索意図とその分類には、検索エンジン側の視点によるものと、検索マーケティング側の視点によるものがあります。ユーザーの意図に合わせたコンテンツを的確に配信し、検索の機会をユーザーとの接点を作る機会として有効に活用していくという検索マーケティングの視点では、自社の活動に合った検索意図の分類を使うとよいでしょう。
- コマーシャル・インテントを含めた4分類 – 商圏の広いビジネスが効率的にコンテンツSEOを実施していく場合、この分類にしたがってコンテンツ計画を立てることが有用です。この4分類は商圏の広いビジネスにとってのマーケティングファネルと重なる部分が多く、ファネルの各段階ごとの施策と連動させやすいためです。
- ローカル・インテントを含めた4分類 – ローカルビジネスにとって効率的なのがこの分類です。この分類にしたがってコンテンツや広告を配信していくことで、マーケティングファネルの各段階に応じた施策を的確に実施できます。この4分類は、ローカルビジネスがインターネットを活用する場合の強力なツールになるでしょう。
- マイクロモーメント – ある特定のクエリについて、その意図をGoogleがどう判断しているかを推測する場合、マイクロモーメントの4分類にしたがって実際の検索結果を見ることが有用です。Googleの検索結果は、マイクロモーメントのそれぞれの種類によって表示される要素(ナレッジパネルやマップパックなど)が変化するためです。
SEOの理想は、ユーザーが検索するその瞬間の意図を満たしつつ、その背後にあるユーザーの目的の達成へと導いていくコンテンツを配信することです。そして、より多くの検索意図に応えることができれば、それだけ多くユーザーとの接触機会を持つことができます。自社の潜在顧客や顧客が持つ検索意図への洞察を深め、より効果的なSEOを進めていきましょう。