SEO(検索エンジン最適化)実践ガイド – SEOとは?仕組みと方法

SEO(検索エンジン最適化)実践ガイド SEOとは? 意味と方法

SEO(Search Engine Optimization: 検索エンジン最適化)とは、自社のウェブページがGoogleやBingなどの検索結果で上位に表示されるようにウェブサイトの内外を改善する取り組みです。このSEO実践ガイドでは、SEOの意味や仕組みから自分で実施する方法や手順までを詳しく、初心者にもわかりやすく解説しています。

SEO(検索エンジン最適化)の意味

SEO(Search Engine Optimization: 検索エンジン最適化)とは、自社のウェブページがGoogleやBingなどの検索結果で上位に表示されるようにウェブサイトの内外を改善する取り組みです。SEOを実施することで、自社の事業領域に関心の高い見込み客を効率的に、無料で集客できます。SEOについてGoogleは次のように説明しています。

SEO(検索エンジン最適化)とは、ユーザーが求める高品質なコンテンツを自社サイトで提供し、検索エンジンに見つけてもらいやすくすることです。SEO をうまく行うことで、あなたの事業に関連する検索が行われたとき、検索結果に自社サイトがより頻繁に表示される可能性を上げることができます。

SEO と PPC の違いとは – Google 広告1

上の引用にあるユーザーが求める高品質なコンテンツとは、そのコンテンツがトピックとして扱うその分野の専門家によって労力をかけて制作され、他にはない独自の価値を持ち、検索ユーザーの役に立つコンテンツです。検索エンジンのアルゴリズムはこうしたコンテンツを上位に表示するために日々改善されています。

SEO(検索エンジン最適化)は、検索エンジンが上位に表示したいコンテンツ、つまり検索ユーザーが求めている役立つコンテンツの作成を通じて行います。では、検索ユーザーが求めている役立つコンテンツとはどのようなもので、検索エンジンはそれをどう見分けるのでしょうか? このページで深く理解しましょう。

SEOのシンプルな本質

SEOの本質は「検索ユーザーの質問にウェブ上で最も的確に答えるコンテンツを作成すること」です。検索ユーザーが入力する検索キーワードはすべて、検索エンジンに投げかける質問です。そして検索エンジンはその質問の答えとして最も役立つページを検索結果に出力しようとします。あなたが作るのはその答えです。

SEOの本質は、検索ユーザーの質問に対する最高の回答を作ること

SEOで作成するコンテンツには、あなたが伝えたいことではなく、検索ユーザーが知りたいことが書かれている必要があります。このためには、そのコンテンツで扱うトピックに関する専門性のほかに、検索ユーザーがあなたに求めている情報は何かを予測する能力と、それを魅力的で有用なコンテンツに仕上げる能力が必要です。

御社の事業領域の各種の話題について、社内で最も豊富な知識と経験を持ち、検索ユーザーが必要としている情報を的確に予想し提供できる人物はどなたでしょうか? ほとんどの中小企業では社長さんでしょう。つまり、御社の中で最もSEO担当者に適任なのは社長です。新入社員や外注先には務まらないものと心得ましょう。

このサイトでは中小企業を主な対象に、社内でSEOを実施するための知識や方法を解説しています。役立つ正確な情報をお届けすることをお約束する編集ポリシーをご覧ください。また内容に不明点などがあればお気軽に X の @motoharusumi に質問してください。

SEOの対象と目的

SEOの対象は、あなたの事業領域に関する情報を検索エンジンで調べている人々です。これらの人々は何らかの疑問や課題を抱えており、それらの疑問や課題を解消するための役立つ情報を求めて検索しています。あなたが発信する情報によって疑問や課題を解消できれば、この人々はあなたを信頼し、あなたの有望な見込み客になります。

SEOの最終的な目的は購買やお問い合わせの獲得などのコンバージョンの獲得ですが、SEOが達成できる目的はそれだけにとどまりません。購買行動の初期段階にいる人々の認知を向上させたり、購買行動の中期段階では複数回の接触を通じて信頼感を醸成するなど、複数の目的を持たせることができます。

検索マーケティングのファネル。インフォメーショナルクエリ、コマーシャルクエリ、トランザクショナルクエリという段階に応じて、SEOでの集客に有効なコンテンツは変化していきます。

上の図は検索マーケティングのファネルで、消費者が認知から検討を経てコンバージョンに至るまでの各段階と、対応する検索意図(クエリ・インテント)、そしてそれぞれの段階で有効な施策を表しています。SEOでは、このファネルの各段階に応じたコンテンツを企画・制作することで、潜在客や見込み客との接点を作り、関係を構築していきます。

SEOの特長と成功の秘訣

SEOの最大の特長は、見込み客のほうから自分の意思でアクセスしてくれることです。見込み客は疑問や困りごとが発生したときに自分の意思で検索し、自分の意思であなたのサイトへと訪問し、自分の意思であなたのコンテンツを見てくれます。これは、オプトインメールが無視され、ディスプレイ広告が煩わしがられるのと対象的です。

ウェブ上での人は、その人が求めている情報のある場所を訪問します。それはあなたの見込み客も同じです。先述の通りSEOの本質は、あなたが一方的に伝えたい情報ではなく、見込み客が求めている情報を発信することです。もしあなたのサイトに見込み客が求める情報がなければ、見込み客はそれを発信している競合他社のサイトを訪れるだけです。

検索ユーザーは何らかの答えを求めて検索しています。あなたがウェブサイトで提供するのはその答えです。ウェブの世界は、より多くの答えを提供した者が成功を収める世界です。より詳しく、よりわかりやすく、より役立つより正確な答えを、より多く発信しましょう。その情報発信が見込み客を呼び寄せます。

検索エンジンの仕組み

検索エンジンが検索結果を出力するプロセスは大まかに3段階あり、ウェブ上のページを巡回して収集する段階、収集したページをデータベースに格納する段階、そして、検索ユーザーが入力したクエリ(検索キーワード)に応じて適合するページをリストする段階です。各段階は次のように説明できます。

  1. クロール – クローラーまたはロボットと呼ばれるソフトウエアがウェブ上のページを巡回し、ページや画像のデータを収集します。
  2. インデックス – クロールしたページのコンテンツやメタデータ、各種のシグナルを分析し、インデックスと呼ばれる大規模なデータベースに格納します。
  3. ランキング – 検索ユーザーが入力したクエリ(検索キーワード)に対して、検索意図との一致性をアルゴリズムが計算し、適合度の高いものから順に検索結果にリストします。

検索エンジンは検知したページをすべてクロールしようとしますが、クロールしたページのすべてをインデックスに格納するわけではありません。インデックス登録は人気の高いページが優先され、重複コンテンツは除外されます。またランキングでは、ユーザーのニーズと一致していて人気があるページを上位に表示します。

検索順位が決まる仕組み

検索結果を生成するアルゴリズムは、まず検索ユーザーが入力したクエリ(検索キーワード)を分析してその背後にある検索意図を推測します。次いで検索意図に沿った答えとしてふさわしいページをインデックスから選び出し、最後にページの品質リンクによる人気度など様々な要因を加味して、適合度の高い順に検索結果にリストします(下図)。

Google検索のクエリープロセシングの模式図。クエリの投げかけ、検索意図の推測、意図に沿うページの抽出、ランク付けの順にプロセスが進みます。

このためSEOで何よりも重要なものは、ユーザーの検索意図(検索の目的)に合っていて、その検索意図を満足させる、役立つ高品質なコンテンツです。ユーザーの質問に対する的確な答えを用意することと、それを正確でわかりやすく表現すること、そしてユーザーから実際に支持されていることが、現在のSEOに求められることであり目標です。

システムは、関連性のあるコンテンツを特定した後、最も役立ちそうなコンテンツを優先しようとします。

ランキング結果 – Google 検索の仕組み2

上記はGoogleは公式ドキュメントからの引用で、ランキング結果の出力についての説明です。SEOで検索結果の上位を獲得したいなら、あなたがコンテンツを作る目的は「検索ユーザーの役に立つため」である必要があります。これがSEOのスタート地点です。私たちに求められるのは、検索エンジン対策ではなく、検索ユーザーへの最適化です。

検索ユーザーへの最適化

2000年代初頭までのSEOでは、検索エンジンの仕組みをよく理解し、検索エンジンがクロールやインデックスを正確に行えるように最適化することが必須でした。検索エンジンの性能が貧弱だったために、検索エンジンに最適化されたHTMLを作成する必要があったのです。SEO(Search Engine Optimization: 検索エンジン最適化)の名称はその頃の状況に由来しています。

しかし現在では、Wordpressをはじめとしてよく使われるCMSの多くは高いクローラビリティとインデクサビリティを備えており、また検索エンジンのクロールやインデックスの能力も向上していますから、検索エンジンの仕組みを知り、検索エンジンに最適化することよりも、検索ユーザーを知り、検索ユーザーに最適化することのほうがはるかに重要です。

Google の自動ランキング システムは、検索エンジンでのランキングを上げることではなく、ユーザーにメリットをもたらすことを主な目的として作成された、有用で信頼できる情報を検索結果の上位に掲載できるように設計されています。

有用で信頼性の高い、ユーザーを第一に考えたコンテンツの作成 | Google 検索セントラル3

Googleは公式ドキュメントで上記のように述べて、検索結果の上位に掲載されるためにはユーザーのメリットになる情報を提供することが必要であることを明確にしています。現在では、検索エンジンにフォーカスして対策することよりも、検索ユーザーの役に立つ有用で信頼できる情報を発信することがSEOの要件なのです。

アルゴリズムの先を行く

検索エンジンのアルゴリズムの変化を後追いし、アルゴリズムに変化があるたびに対策することをひたすら繰り返す人々がいます。SEOを「SEO対策」と呼ぶ人々です。しかし、検索エンジンのランキングアルゴリズムが目指す方向性を理解し、SEOを対策ではなく最適化だと考えていれば、延々と対策を繰り返す事態に陥らずにすみます。

Googleのアルゴリズムは人々が好むものを追いかけている。このため「アルゴリズムを追いかける」 ならアルゴリズムに遅れをとる。しかし人々が好むものを追いかけるなら、アルゴリズムの先を行くことができる。

Google SearchLiaison on X 7:10 AM · Nov 17, 20234

2023年11月、Googleのダニー・サリバン氏は上記のように述べて、アルゴリズムの進化を先回りして最適化していくことができることを示しました。この「アルゴリズムは人々が好むものを追いかけている」という言葉は比喩や抽象的な表現ではなく、次に示すような検索アルゴリズムの実際をそのまま表したものです。

  • リンクポピュラリティのアルゴリズムは、実際に人々に支持されている権威性の高いページを抽出します。
  • サイテーションのデータやユーザーが入力した検索クエリのデータを利用することで、アルゴリズムは人々が実際に話題にしているサイトやブランドなどのエンティティを特定します。
  • 検索結果上でのインタラクションデータを利用することで、アルゴリズムは実際の検索ユーザーが選択するページを選出します。

私たちがSEO(検索エンジン最適化)ですべきことは、実際に検索ユーザーに好まれ役に立つページやサイトを運営することであり、それと同時に、検索ユーザーに好まれ役に立っているという事実を効率的に検索エンジンに伝えることです。アルゴリズムを後追いして対策を繰り返すのではなく、検索ユーザーに最適化することがSEOです。

SEO施策の種類と内容

実際のSEOの作業には主に3つの側面があります。ウェブサイトの技術的な側面を最適化するテクニカルSEOと、主としてウェブサイト上のコンテンツを最適化するオンページSEO、そしてウェブサイトの外部に働きかけて被リンクや評判などの外部評価を構築するオフページSEOです。

SEOの3タイプの施策をピラミッド状に表現したグラフ。底辺がテクニカルSEO、中央がオンページSEO、頂点がオフページSEO

上図に示したように、検索エンジンにサイトやページを正しく把握させるための最適化であるテクニカルSEOはすべての基礎となり、コンテンツの制作や管理を担うオンページSEOが日々の作業の中心で、適切な宣伝を実施して被リンクや肯定的な評判を構築するオフページSEOは仕上げ部分にあたります。

テクニカルSEO

テクニカルSEOとは、検索エンジンがウェブサイトを正しく把握するための技術的な側面を最適化することをいいます。テクニカルSEOはウェブ開発の一部であり、検索エンジンにとってウェブサイトの構造やコンテンツを理解しやすくし、正しくクロールやインデックスすることを助ける役割を担っています。テクニカルSEOでは次のようなことを実施します。

ただし近年では、検索エンジンの性能向上と、一般的によく使われているCMSやカートシステムの改善によって、テクニカルSEOの必要性は大きく減少しています。一般的なCMSやカートシステムで運用されているサイトでは、狭義のテクニカルSEOの必要性はほとんどなくなったといってもよいでしょう。

一方、デバイスの多様化やユーザーの利用シーンがより日常に密着したものになってきていることを受けて、ユーザーエクスペリエンスの高いウェブ開発の重要性は大きくなっています。機能面のデザインでもビジュアル面のデザインでも、ユーザーエクスペリエンスを最適化することが現在のテクニカルSEOの要件です。

オンページSEO

オンページSEOとは、検索ユーザーのニーズを満たすようにウェブサイト上のコンテンツを最適化することです。日本ではコンテンツSEOと呼ばれ、現在のSEOの中心的な作業です。自社が専門とする領域の範囲内で、見込み客が検索エンジンを使って調べている疑問を特定し、それに答えるコンテンツを作り込んでいきます。

見込み客が検索エンジンを使って調べている疑問を特定するためのヒントとして、検索エンジンのサジェストキーワード(検索ボックスで自動補完されるキーワード候補)や、検索結果に表示される「関連する検索」の欄(いずれも下図)が利用できるほか、有用な無料SEOツールもあります。こうしたものを利用しながら、あなたが答えるべき見込み客の疑問を特定していきます。

サジェストキーワードの例

見込み客の疑問に対する答えを検索エンジンに評価されるコンテンツにするためには、他にない独自の価値があり、実際に役に立つ高品質なもので、主張の典拠がきちんと示されていて、プロとしての豊富な専門知識と信頼性が示されている必要があります。このためコンテンツの著者は、自社の業務についての高度な専門知識を持っていることが必須です。

また、コンテンツ制作では、見込み客がそのコンテンツを探して検索するときに使いそうなキーワードを選定し、そのキーワードに最適化することも重要です。キーワードの選定では、絞り込まれた具体的なキーワードほど、絞り込まれた有望な見込み客を引きつけることができることに留意してください。ここでもサジェストキーワードや「関連する検索」欄がヒントになります。

狙うキーワードを決めたら、ページタイトル見出し本文の中でそのキーワードを自然に使うようにします。ただし、キーワードは過度に使う必要はありません。迷ったときは常に読者にとっての読みやすさとわかりやすさを優先しましょう。キーワードを詰め込みすぎた不自然な文章では、訪問者から好ましい行動を引き出すことができません。

コンテンツ同士を内部リンクで接続することも重要です。各コンテンツの本文中から、サイト内の関連性のあるページにリンクしましょう。アンカーテキストにはリンク先を端的に表す文字列を使います。このようにすることで、利用者に関連ページを案内すると同時に、検索エンジンにページ同士の関連性を伝えます。トピッククラスターを構成すればさらに効果的です。

オフページSEO

オフページSEOとはウェブサイトやコンテンツ著者の認知度や人気や評判を高める施策です。ブランディングや広報に属する取り組みとして、管理しているウェブサイトの外部に働きかけます。オフページSEOは、検索順位において人気度の占める割合が大きいECサイトのSEOや、地域での評判が重要なローカルSEOなどで特に重要です。

テクニカルSEOやオンページSEOはサイト運営者が完全に制御できる一方で、このオフページSEOは主に外部の第三者の反応ですから、サイト運営者が介入できる範囲は限定的です。だからこそGoogleは、PageRankサイテーションに代表されるようにサイト外部の第三者の評価を重視するのです。より詳しくは後段の第三者によるクチコミを増やすで説明します。

SEOを実施する方法と手順

SEOの実施にあたっては、まずはサイトがマイナス評価を受ける要因を排除することから始め、次いで製品やサービスの案内ページをより売れるページへと最適化します。それらが一通り済んだら、継続的な施策として、役立つコンテンツを発信するコンテンツ施策とクチコミ施策を実施していきます。SEOは次のような手順で進めます。

  1. マイナス評価をゼロに戻す
  2. 販売ページを最適化する
  3. 役立つコンテンツを作り込む
  4. 販売ページへの動線をつなぐ
  5. 第三者によるクチコミを増やす

マイナス評価をゼロに戻す

SEOを実施していくにあたって最初にやっておくべきことは、検索エンジンから低評価を受ける要因をできる限り排除することです。低評価を受ける要因を残したままでは、その後のSEO施策が十分な効果を発揮しにくいためです。検索エンジンから低評価を受ける要因とその対応は次の通りです。

  • Google ウェブ検索のスパムに関するポリシー5違反 – キーワードの詰め込みやリンクスパム、自動生成された大量のコンテンツなど、スパムポリシーに違反する行為がある場合には、ペナルティを受けるリスクがあるため、それらの違反をすべて排除します。サイト運営者が自分でスパムポリシーに違反するケースは稀ですが、SEO業者を利用したことがあるなら要注意です。
  • URL正規化の誤った実装 – 正規URLではないURLを掲載した不適切なXMLサイトマップの送信や、誤ったcanonicalリンクタグの実装、内部リンクの不統一など、正規化の誤った実装はときどき見られます。正しく正規化を実施するか、または余計なことは何もせずGoogleに任せることが有効です。
  • 大量の低品質コンテンツ – 検索ユーザーの役に立たない低品質なページの存在は大きなマイナス要因です。極端に短かかったり、役立つ内容がなかったり、他のサイトの内容と似たり寄ったりで独自性がないなどといった低品質なページがあるようなら、それらの低品質なページは改善するか削除する必要があります。
  • クロールできない孤立したページ – 検索エンジンにインデックスしてほしいページはすべて、他のページからリンクされている必要があります。ごく普通に構成されたウェブサイトではこれが問題になることはありませんが、フォーム部品を用いたナビゲーションを実装しているサイトや、無限スクロールを採用しているサイトで問題になることがあります。

上記のマイナス要因をすべてを改善した状態が、SEOにおけるプラスマイナスゼロの状態です。運営期間の長いサイトでは、URL正規化の誤りや、大量の低品質コンテンツが見つかることがよくあり、そうしたものを改善するだけでも、結果が大きく改善することもあります。それが済んだら次の段階に進みます。

販売ページを最適化する

個々のページの最適化では、まず製品やサービスの紹介ページを優先して最適化します。これができていないと、せっかく集めた検索エンジンからのアクセスが無駄になってしまいます。まずは製品やサービスの案内ページを、魅力的で、問い合わせや購買につながりやすいものに最適化しましょう。

製品やサービスの案内ページは、購入を決定するために必要十分な情報を盛り込みながら、しかも導入からクロージングまでスムーズに流れるようなページになるように最適化しましょう。製品やサービスの紹介ページには次のような情報が過不足なく盛り込まれている必要があります。

  • 検索キーワード – その製品やサービスを探している人が検索に使いそうなキーワードを、ページのタイトルや本文に含めます。有名な製品やサービスならその名称がキーワードになりますが、有名ではない場合には検索で使いそうな言葉を使う工夫が必要です。
  • 比較検討のための材料の掲載 – 費用や納期や品質やサイズなど、比較検討の材料として十分な情報を詳細に掲載します。それらの情報は検索キーワードとして使われる可能性があります。
  • 誰のどんな課題を解決するのかの説明 – その製品またはサービスの顧客はどんな人で、製品やサービスを利用することによって顧客のどんな悩みや課題が解決する、または願望が叶うのかを具体的に記述します。
  • 外観や使用感の説明 – 写真やイラストと文章を使って、製品や施設の外観や使用感などを表現します。製品やサービスによっては、その説明が検索キーワードとして使われる可能性があります。
  • 御社の商品を買うべき理由の説明 – 他社が扱う他の製品やサービスではなく、御社の製品やサービスを選択すべき明確な理由を説明します。

販売ページの最適化において重要な役割を持つのがコピーライティングの技法です。コピーライティングとは、広告やマーケティングのための文章作成技法であり、読み手を動かし購買などの行動を起こさせることを目的とします。購買につながりやすいページはポジティブなユーザー行動のシグナルを発し、検索結果でのランキングが向上します。

販売ページはウェブサイトの中で最も重要な部分です。読み手を動かす優れたコピーライティングで作られた販売ページは、SEOによるアクセス増加を見込めるだけでなく、検索連動型広告アフィリエイト広告のランディングページとしても活用でき、ウェブサイトからの売上の拡大に大きく貢献します。

役立つコンテンツを作り込む

役立つコンテンツの作成を通じたSEOを実施します。自社が専門性を保持している領域の範囲内で、自社の見込み客の疑問に答え困りごとを解消するコンテンツを作成することで、検索エンジンから見込み客を集客します。この施策は地道で手間もかかりますが、積み重ねることで効果が高まります。コンテンツSEOで重要なポイントは次の3点です。

ここで最も重要なことは検索ユーザーの役に立つことを目的にコンテンツを作ることです。検索エンジンは検索ユーザーにとってより役に立つページを優先して検索結果に表示しようとするからです。コンテンツの目的を明確に「検索ユーザーの役に立つため」とすることが、SEOの基本的な考え方であり、最も重要なポイントです。

販売ページへの動線をつなぐ

役立つ高品質な記事の末尾には、サイトへと誘引した見込み客を製品やサービスの案内ページへと誘導するCTA(Call to Action:行動喚起)を設置します。下の図はその流れを図示したものです。役立つ高品質な記事が増えれば増えるほど、製品やサービスの案内ページへと誘導される見込み客が増え、問い合わせや購買が増えていきます。

この構成はSEOで問い合わせを増やすための確立された必勝パターンであり、この構成をうまく取り入れることでウェブサイトがもたらす成果を最大化できます。よくご覧になれば、このサイトもまた上記の構成になっていることがおわかりいただけると思います。

第三者によるクチコミを増やす

アルゴリズムの先を行くの項で説明したとおり、検索エンジンのアルゴリズムは人々が好んでいるものを特定しようとしており、そのためにリンクや、Googleマップなどでの評点や、SNSでの言及など、クチコミやサイテーションを用いて評判を解析しています。クチコミを増やすためにできることは次の通りです。

  • 外部サイトでのレビュー投稿を依頼する – Googleマップやその他のクチコミサイトでレビューを投稿してもらえるように、顧客や取引先などに依頼します。同梱物やリマインダーのメールを利用したり、オンラインやオフラインでの社交を通じて直接依頼することで、好意的なレビューを増やすことができます。
  • サイト内での商品レビューを依頼する – Amazonなどが好例ですが、ECサイトSEOでは、自社が管理するサイト内に掲載される商品レビューでも数が多くなればプラスに働きます。商品を買ってくださったお客さまにレビュー投稿を依頼しましょう。
  • SNSやブログの投稿を依頼する – 商品を実際に使っているシーンをSNSやブログに投稿してもらえるように顧客に依頼します。商品を送付する際の同梱物に以来のメッセージを含めたり、リマインダーのメールで依頼することが有効です。
  • 名前を覚えてもらう – 店名やサイト名、コンテンツの著者名などを覚えてもらわなければ、それを話題にすることはできません。SNSやメルマガを通じて接触頻度を増やしたり、コンテンツに著者情報を表示することが有効です。
  • 被リンクを構築する – SNSなどを使ってコンテンツや商品を宣伝したり、顧客や取引先に依頼することなどを通じて被リンクを構築します。基本的な被リンク構築に加えて、幅広いデジタルPRを実施するのも有効です。
  • オンラインでの社交を通じて存在感を増す – 社長の個人アカウントでSNSに参加し、専門領域での情報提供を積極的に実施してSNS上のコミュニティに貢献し、何かと話題になるような、また情報源として頼られるような存在感を獲得します。
  • オンラインでシェアされやすいコンテンツを作成する – コンテンツを作るとき、独自の調査結果を含めたり、インフォグラフィックをまとめるなど、オンラインでシェアされやすい性質を付け加えます。シェアされるコンテンツは御社の存在感を高めます。
  • 話題を作り発信する – キャンペーンやイベントの開催など、人々の話題に上る機会を作ります。話題づくりの際には、SNSやメールマガジンや各種の広告を通じた宣伝だけでなく、プレスリリースを配信してマスメディアにアプローチするのも有効です。

クチコミの拡大を通じた被リンクの構築レピュテーションの形成は、企業のSEOにとって最大の課題です。多くの利用者がいて知名度と人気があり、市場で話題になっているという事実そのものが、検索エンジンがそのブランドや商品を検索結果の上位に表示する理由となるからです。クチコミ施策は積極的に実施しましょう。

SEOの重要コンセプト

ここでは現在から近い将来にわたるSEOを理解し実践するうえで特に重要なコンセプトに絞って簡単に解説していきます。これらの重要コンセプトを理解することで、Googleがどのような状況下でどのようなページを高く評価しようとしているかを理解できるとともに、SEOの実施において注力すべきことを明確にできます。解説するのは次のものです。

検索意図とニーズメット(Needs Met)

検索結果の順位は、ユーザーが入力したクエリの背後にある検索意図との一致度と、評判や信頼性を含めたページの品質で決まります。ページの品質がどれだけ優れていても、ユーザーの検索意図と一致していなければ検索結果の上位には表示されません。この意味で、SEOにおいて最も重要なのは検索意図の理解です。

5種類の検索意図。情報を探すことを意図するインフォメーショナル・クエリ、取引を意図するトランザクショナルクエリ、商取引のための調査を意図するコマーシャル・クエリ、場所を探すことを意図するローカル・クエリ、特定のウェブページへの移動を意図するナビゲーショナル・クエリ

そしてニーズメットとは、検索ユーザーの検索意図に焦点を当て、そのコンテンツが検索ユーザーにとってどれだけ役立ち、どれだけ満足のいくものかを判断します。SEOでは、ユーザーの検索意図を理解したうえで、その検索意図を的確に満たし、より役立ち、より満足のいくニーズメットなページを制作することで、検索結果の上位表示を狙います。

ウェブサイトとコンテンツ著者の評判

Googleが情報の正確性や信頼性を計るとき、サイトやページの外部からの評価を重視します。あるサイト上にあるすべての情報はそのサイトの運営者が完全にコントロールできますから、実際以上に立派に見えるように虚飾することも、不正確な情報を正確だと偽ることも、どんなことでもできてしまいます。そのサイト上にある情報だけでは正確性や信頼性は担保できないのです。

そこでGoogleは、ウェブサイト運営者やコンテンツ著者の管理下にない第三者によるレピュテーション(評判)情報を重視します。ウェブ上のページ同士のリンク関係に着目しリンクを一種の支持投票のように扱うPageRankは、サイトやページの外部からの評価を使って情報の正確性や信頼性を計る指標の代表例です。

現在ではリンクだけに限らず、ウェブ上での言及(サイテーションといいます)とその感情分析(ポジティブな言及であるかネガティブな言及であるか)を使って、ウェブサイトやコンテンツ著者の信頼性を計ることもしています。SEOの観点からは、ウェブサイトやコンテンツ著者のポジティブな評判を構築していくことが極めて重要です。

Google検索品質評価ガイドラインでは、E-E-A-TやYMYLよりも多くを割いてサイトとコンテンツ著者の評判について説明している

上の画像はGoogle検索品質評価ガイドラインの目次です。ウェブサイトやコンテンツ著者の評判についての記述がE-E-A-TやYMYLよりも先行し、より多くの紙幅が割かれています。このような構成になっている理由は、サイトやページだけを見れば優れたE-E-A-Tを示しているように見えたとしても、評判が悪ければ高評価は与えられないからです。

E-E-A-T(経験、専門性、権威性、信頼)

E-E-A-Tとは、Experience(経験)、Expertise(専門性)、Authoritativeness(権威性)、Trust(信頼)の頭字語で、Googleが検索品質評価ガイドラインで定めた独自の基準であり、ページの品質を評価するための指標です。GoogleはE-E-A-Tの中で最も重要なのは信頼で、それは経験または専門性と権威性の結果であるとしています。

E-E-A-Tの概念図。中央に信頼(Trust)が位置し、それを支えるように経験(Experience)と専門性(Expertise)と権威性(Authoritativeness)が取りまいている

E-E-A-Tのそれぞれの意味は以下の通りで、SEOの観点ではE-E-A-Tのそれぞれをサイトやコンテンツ著者が実際に高め、それをコンテンツに反映していくことが求められます。これらは誰もが簡単に手に入れることができないものですが、だからこそ特別な価値を検索ユーザーにもたらすことができるといえます。

  • E: Experience(経験)— そのトピックについてコンテンツ著者が個人的な実体験や人生経験を持っていること。
  • E: Expertise(専門性)— そのトピックについてコンテンツ著者が訓練によって身につけた専門知識や技術を持っていること。
  • A: Authoritativeness(権威性)— そのトピックに関連する文脈でサイトやコンテンツ著者が第三者からポジティブな言及(サイテーション)や引用(被リンク)を受けていること。
  • T: Trust(信頼)— そのトピックについてサイトやコンテンツ著者に十分な経験または専門性があり、かつ権威性が証明されていること。

なおE-E-A-Tは独立したシグナルではなく、多数のシグナルの集合です。したがってE-E-A-Tスコアのような単独の指標は存在しません。しかしE-E-A-Tのコンセプトは、Googleが自動化されたアルゴリズムによって高く評価したいと考えるウェブサイトやウェブページの姿を示しているため、SEOを実施していくにあたって極めて重要です。

YMYL(Your Money or Your Life)

検索品質評価ガイドラインでは、ユーザーの幸福、健康、経済的安定、または安全に重大な影響または損害を与える可能性があるトピックを「Your Money or Your Life」またはYMYLと呼んでいます。Googleは2014年にYMYLカテゴリーを導入しており、以下のようなトピックがYMYLに該当すると説明してします。

  • 健康または安全 – 精神的、身体的、感情的な健康、または身体的安全やオンライン上の安全など、あらゆる形の安全を害する可能性のあるトピック。
  • 経済的な安全 – 自分自身や家族を支える能力を損なう可能性のあるトピック。
  • 社会 –  人々の集団、公共の利益、公的機関への信頼などに悪影響を及ぼす可能性のあるトピック。
  • その他 – 人々を傷つけたり、社会の福祉や幸福に悪影響を及ぼす可能性のあるトピック。

このYMYLカテゴリのトピックについてGoogleは、信頼性と安全性について最も厳しい基準で運営することをユーザーが期待していると想定しています。このためユーザーのクエリがYMYLのトピックに関連していることをGoogleのアルゴリズムが検出した場合、ランキングシステムは、E-E-A-Tをより重視した検索結果を返します。

文字列からエンティティ(実体)へ

現在のGoogleは、実在の物事を単なる文字列ではなく実体(エンティティ)として認識しています。エンティティとは、人物、場所、組織、事物、概念など、他の事物と区別できる一意性を持った現実世界の物事のことを言います。たとえば「富士山」は日本一の標高3,776mを誇り、本州の静岡県と山梨県にまたがる活火山であることを認識しています。

Googleはエンティティを認識することによって、検索クエリの意図をより人間らしく理解します。たとえば「日本一高い山は?」のようなクエリの意味を人間のように理解し、クエリ文字列に含まれていない「富士山」を検索結果に返すことができます。このように、Googleの理解は文字列からエンティティへと進んでいます。

また、レピュテーションやサイテーション、E-E-A-Tなどは、その対象となるエンティティがGoogleに認識されていて初めて意味を持ちます。たとえば外部のサイト上で「住太陽」に対してポジティブな言及があったとして、それが人物「住太陽」のレピュテーションやE-E-A-Tとして機能するためには、Googleにとって「住太陽」が既知の人物エンティティである必要があります。

SEOの実施にあたっては、会社や店舗、ブランド、ウェブサイト、コンテンツ著者などをGoogleにエンティティとして認識させることが非常に重要です。それがなければ、レピュテーションやE-E-A-Tが機能しないからです。オフページSEOに取り組む際には、その準備として会社や店舗のエンティティを認識させておきましょう。

ユーザー行動とポゴスティッキング

検索エンジンは検索結果画面上での実際のユーザーの行動を追跡し、検索結果を調整しています。実際のユーザーがどのリンクをクリックしたか、またはしなかったか、どのリンクをクリックしたときにすぐに検索結果に戻ってきたか、または戻ってこなかったか、といったユーザー行動のデータをシグナルに変換して機械学習させることで、検索結果を調整します。

検索結果の上位に表示されたリンクをクリックしたものの求める情報が見つからず、また検索結果に戻って別のリンクをクリックする行動をSEOの俗語でポゴスティッキングと言います(下図)。GoogleのRankBrainに代表される機械学習アルゴリズムは、こうしたユーザーの行動を追跡することで、ユーザーの満足度が低かったページの順位を押し下げると同時に、満足度の高かったページの順位を引き上げる調整を行います。

SEOにおけるポイントは、検索ユーザーの意図が満足しそれ以上の検索の必要がなくなるページを作り込むことです。検索結果画面でのクリック率を上げ、直帰率を下げ、滞在時間を延ばすことで、ユーザー行動によるシグナルを最適化することができます。なお検索結果に表示された自分のページを自分でクリックすることは無意味ですのでご注意ください。

労力、独自性、才能またはスキル、正確性

Googleは検索品質評価ガイドライン6の中で「メインコンテンツの質は、コンテンツ作成に費やした努力の量、独自性、才能またはスキルによって評価でき、それに加えて情報提供ページやYMYLトピックでは内容の正確性で評価できる」としています(下図)。

Googleは検索品質評価ガイドラインの中で、メインコンテンツの質は、コンテンツ作成に費やした努力の量、独自性、才能またはスキルによって評価でき、それに加えて情報提供ページやYMYLトピックでは内容の正確性で評価できるとしています。

労力、独自性、才能またはスキル、正確性はいずれも、人間のコンテンツ作成者ならではのものであり、AIで生成したコンテンツそのままでは表現できないものであることがポイントです。アルゴリズムは、人間の労力や創造性、人間の才能やスキル、人間の専門家による正確性の確認を評価しようとしているのです。

  • コンテンツ作成に費やした労力 – コンテンツを満足度の高いものにするために実際の人間が労力を費やしていること。
  • 独自性 – コンテンツが他のウェブサイト上では見ることのできない唯一無二の独自のものであること。
  • 才能またはスキル – コンテンツがそのページを訪問した人に満足な体験を提供するために十分な才能またはスキルで作成されていること。
  • 正確性 – 情報ページのコンテンツは事実ベースで正確であること。YMYLのトピックのページでは、内容が正確で、確立された専門家のコンセンサスと一致していること。

ここで紹介したコンテンツの要件である労力、独自性、才能またはスキル、正確性と、すでに述べたウェブサイトとコンテンツ著者のレピュテーションやE-E-A-Tが必要であることを考慮すれば、新入社員や外注先にコンテンツ作成を任せることは時間と予算の無駄だと言えるでしょう。中小企業であれば、SEOは社長が自ら実施すべきです。

コンテンツマーケティングとSEO

コンテンツマーケティングとは、役立つ記事や動画などのコンテンツを使って見込み客や顧客を引き付けるマーケティング戦略です7。製品やサービスを直接的に売り込むのではなく、役立つコンテンツを提供することで潜在客や見込み客の興味や関心を引きつけ、信頼関係を築き、ブランドの認知度を高め、ファンを作っていきます。

SEOはコンテンツを検索で探す人々にリーチする手段ですから、SEOはコンテンツマーケティングの手段のひとつであると位置づけることができます。同様に、コンテンツをシェア(共有)で伝播させるソーシャルメディアマーケティングも、コンテンツマーケティングの手段のひとつと位置づけることができます(下図)。

コンテンツマーケティングは、役立つコンテンツと、それを見込み客や顧客に届けるSEOとソーシャルメディアマーケティングで構成されています。

価値のある役立つコンテンツを発信することで、SEOによる検索トラフィックが得られるだけでなく、ソーシャルメディアでシェアされることによるオーガニックソーシャルのトラフィックが得られます。また、ソーシャルメディアでシェアされ話題になれば、その結果としてクチコミ効果被リンクが得られ、SEOをさらに強力に推進します。

コンテンツ制作にあたっては、単に検索結果の上位ランキングを獲得することだけでなく、訪問者に価値を提供することを第一義とすることで、コンテンツマーケティングとして機能します。せっかくSEOに取り組むのであれば、潜在客や見込み客に価値を提供することで、覚えられ、好かれ、共有されるコンテンツの提供を目標にしましょう。

SEOのよくある質問

ここからはSEOに関するよくある質問をQ&A形式でまとめます。以下は取り扱う質問のリストです。

他の集客手段と比較したSEOの効果は?

自然検索(広告ではない無料の検索結果)はオンラインで最大のアクセス経路です。人々はオンラインで求める情報を見つけるために検索エンジンを主に使用しており、自然検索が生み出すアクセスは追跡可能なアクセスの53%を占めています8(下図)。この自然検索によるアクセスはSEOで獲得します。

主要な集客チャネルにおける自然検索のシェアは53%

上記の割合を企業のウェブマーケティング予算に置き換えるなら、SEOに割く予算は、有料検索(検索連動型広告)予算の3倍超、ソーシャルメディアマーケティング予算の10倍超が適切な水準となります。SEOを自分で実施すれば金銭的な予算は不要ですが、時間や労力といったリソースは十分に確保する必要があります

SEOで得られるアクセス数は?

Google検索では上位3位までに表示されたリンクが全クリックの54.4%を獲得し、上位5位までで69.1%のクリックを獲得します9(下図参照)。企業が自社のビジネス領域に関心を持つ人々を自然検索から集客しようとするとき、SEOによる検索結果での上位表示は欠かせません

Google検索における順位ごとのクリック率

検索エンジンからのアクセスはオンラインのアクセス経路として最大ですが、そのほとんどは検索結果の上位に表示されたサイトが獲得しています。検索結果の上位に表示されることで、より多くの見込み客を集めることができるのです。多くの企業が検索結果での上位表示を目指してSEOを実施するのはこれが理由です。

SEOのメリットとデメリットは?

SEOの最大のメリットは「見込み客のほうから自発的に訪問してもらえる」ことです。そのほかのSEOのメリットとしては、サイト運営者が自分でできることや、見込み客が知識を形成する段階から関係を構築し信頼を醸成できること、広告ではボリュームが小さすぎてリーチできない層にリーチできることなどを挙げることができます。

一方のSEOのデメリットは、短期的な成果が望みにくいため初期の段階では費用倒れを覚悟する必要があることや、検索アルゴリズムの変化や競合の状況といった不確実要素が多く結果が保証されないこと、良質なコンテンツの作成や維持のコストが半永久的にかかることなどが挙げられます。こうしたことから、どんなときもSEOが最善策であるとは限りません

初心者がSEOで最初にやることは?

SEOで最初にやることは、既存のコンテンツを見直し、検索ユーザーの役に立つように最適化することです。検索ユーザーの視点に立って、知識を伝えるコンテンツならより正確にわかりやすく、方法を伝えるコンテンツならよりうまくいくように、製品やサービスの紹介ならよりうまく使いこなせるように、コンテンツを最適化します。

またそもそも、検索者の役に立つようなコンテンツがまったくない場合もあるでしょう。その場合、コンテンツを追加したり修正したりしやすいWordpressのようなCMSを導入し、コンテンツを作ってみるところから始めましょう。未経験の初心者でも結果が出せるコンテンツSEOの方法が役に立つでしょう。

SEOでやってはいけないことは?

SEOでやってはいけないことはGoogle ウェブ検索のスパムに関するポリシー違反ですが、これを知らずにやってしまう心配はほとんどありません。ただしマルウェア感染やコメントスパムのようにサイト外部からの攻撃によってポリシー違反になることはあり得ますので、サイトのセキュリティは堅牢にしておく必要があります。

スパムに関するポリシー違反以外でやるべきではないのは、専門外のトピックや経験のないトピックを扱うことです。たとえば、医療従事者ではない人が医療情報を書いたり、触ったこともない製品について製品レビューを書いたりすることは、検索ユーザーの役に立たないばかりか損害を与える可能性すらあり、検索結果で上位に表示される妨げになる可能性が大きいからです。

SEOは誰でもできる?

SEOは誰でもできますが、コンテンツで扱うトピックについての専門知識や技能または個人的な経験を十分に持っていることが条件です。そのトピックについての十分な専門性や経験を持った人が、その専門性や経験をコンテンツに反映することで、SEOに適した独自の価値のある良質なコンテンツを作ることができます。

これを逆に言えば、コンテンツで扱うトピックについての専門知識や技能が未熟であったり、経験を持たなかったりする人物は、SEO担当者として不適だということでもあります。コンテンツ制作を若手社員や外注先に任せていては、検索エンジンが上位に表示するにふさわしい専門的で良質なコンテンツを作ることは困難です。

まとめ

ここまでSEO(検索エンジン最適化)の方法と仕組み、主要コンセプトを解説してきました。少し難しく感じられたかもしれませんが、SEOの作業は「あなたの顧客や見込み客の疑問に専門家として的確に答えるコンテンツを作る」ことが中心ですから、新入社員や外注先にとっては困難でも、経営者には難しくありません

コンテンツ作成のほかに重要なことは、被リンクサイテーションレピュテーションの獲得です。これらはオンラインやオフラインでの活動の結果として得られるものです。名前と顔を出して、会社を代表して活動できる人物ほど有利であり、この意味でもSEO担当者に適任なのは社長です。

小規模なローカル ビジネスの経営者は、おそらく、作業の多くを自分で行うことができます。

SEO業者(代理店、コンサルタント)とは| Google 検索セントラル10

SEOについてGoogleは公式ドキュメントで上記引用のように述べ、経営者であればSEOは自分でできると説明しています。見込み客が自ら望んで御社のウェブサイトを訪れるようになることほど素晴らしいことはありません。SEOでそれを実現しましょう。それをやるのは社長であるあなたです。

脚注

  1. SEO と PPC の違いとは – Google 広告 ↩︎
  2. ランキング結果 – Google 検索の仕組み ↩︎
  3. 有用で信頼性の高い、ユーザーを第一に考えたコンテンツの作成 | Google 検索セントラル ↩︎
  4. Google SearchLiaison on X 7:10 AM · Nov 17, 2023 ↩︎
  5. Google ウェブ検索のスパムに関するポリシー ↩︎
  6. Google 検索品質評価ガイドライン(PDF・英語) ↩︎
  7. What is Content Marketing? ↩︎
  8. Organic Share of Traffic Increases to 53% | BrightEdge ↩︎
  9. We Analyzed 4 Million Google Search Results. Here’s What We Learned About Organic CTR ↩︎
  10. SEO業者(代理店、コンサルタント)とは| Google 検索セントラル ↩︎