個人ブログのSEO – 個人的な経験こそが有用で有益なコンテンツ

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Googleは検索結果評価ガイドラインをはじめとする各種の公式ドキュメントの中で、トピックによっては経験、とりわけ個人の実体験を重視することを明言しています。生身の人間としての経験が、コンテンツに信頼性を与えるのです。個人ブログのSEOでは、コンテンツ制作者の実体験を軸にコンテンツを作成していくことが最大のポイントとなります。

個人的な経験こそが個人ブログの強み

私たちが検索するとき、その背後には、解決したい問題や課題、解消したい悩みや困りごとが存在します。そして私たちは、自分のそれと似た問題や課題、悩みや困りごとを持った人の経験からヒントを得ようと検索します。私たちが検索で知りたいことは、例えば次のようなものです。

  • いま抱えている問題や課題や悩みの解決策にはどんな選択肢があるだろう?
  • それぞれの解決策の適合条件や、金銭的・労力的・時間的コストはどうだろう?
  • 自分に似た人はどんな条件で、どんな理由で、どんな解決策を選んだだろう?
  • その選択の結果はどれくらいうまくいき、どれくらい満足できただろう?

私たちは自分の問題や課題、悩みや困りごとを解決していくにあたって、上記のような情報を収集しながら、自分に合いそうな解決策を模索していきます。このとき参考にするのは主に個人のブログであり、次のようなことがまとめられたブログ記事をひたすら探すことになります。

  • 現状分析 – 抱えている問題や課題や悩みは具体的にどんなものか? それまでの経緯や現在の具体的な状況はどのようなものか? その状況にどれほど困っているか?
  • 調査と調査結果 – 解決策にはどんなものがあり、それぞれの解決策の適合条件、利点や欠点、金銭的・労力的・時間的コストはどうか?
  • 比較検討と意思決定要因 – 最終的に選択した解決策はどんなもので、それを選択した決め手は何だったか? その選択は満足のいくものだったか?
  • 実体験と評価 – その解決策で当初の問題や課題や悩みはどの程度解決したか? その難易度や満足度はどうだったか?

上記のリストのようなことが個人ブログに求められる内容であり、それらはすべてブロガーの個人的な経験です。こうしたブロガーの個人的な経験こそが、企業ブログには真似できない個人ブログならではの強みです。これらを丁寧にわかりやすくまとめていくことで、個人ブログは自然検索での露出を最大化できます。

個人ブログは「経験」でE-E-A-Tを強化できる

Googleは検索品質評価ガイドラインの2022年12月版1で書き手の経験を評価することを明言しました。コンテンツで扱っているトピックについて、その著者が実体験や人生経験を持っているかどうかは、コンテンツの信頼性にとって重要なポイントです。トピックの種類によっては、実体験こそが信頼性の根幹となる場合もあります

実際に製品を使用している、実際にその場所を訪問している、誰かが経験したことを伝えているなど、コンテンツにある程度の経験が織り込まれているかどうかも評価されます。状況によっては、そのトピックに関連して実体験をもつ人が作成したコンテンツが最も高く評価される場合もあります

品質評価ガイドラインの最新情報: E-A-T に Experience の E を追加 | Google 検索セントラル ブログ2
E-E-A-Tの概念図。中央に位置する「信頼性」は、周辺に位置している「経験」「専門性」「権威性」に支えられている。

E-E-A-Tは上図のように、中央に「信頼性」が位置しており、それを支える形で周辺には「経験」「専門性」「権威性」が配置されています。これは、E-E-A-Tの概念の中で最も重要なのが信頼性であり、十分な経験や専門性や権威性が示されることによって信頼性が高まることを示しています。一方、Googleは次のようにも述べています。

これらの中で最も重要なのは信頼性だ。その他の項目も信頼性につながるが、必ずしもそれらすべてを示す必要はない。たとえば、あるコンテンツは経験を表現することでユーザーの役に立つかもしれないし、別のコンテンツは専門性でユーザーの役に立つかもしれない。

Creating helpful, reliable, people-first content | Google Search Central3

上の強調部分にあるように、経験を表現することによって最高の評価を得る場合もあります。実体験や人生経験が重要な意味を持つトピックを扱う場合、専門性や権威性が低かったとしても、経験があることによって信頼性できる高い信頼性が認められることがあるのです。

実体験や人生経験が信頼性を形成するトピック

E-E-A-Tの基準はトピックによって変化します。人生経験や実体験が重要な意味を占めるトピックにおいては、豊富な人生経験や実体験が反映されたコンテンツこそが高いE-E-A-Tを持ち、信頼できるものとされるのです。これについてGoogleは次のように説明しています。

豊富な人生経験を持つコンテンツ著者は、経験が信頼性の主要な要素であるトピックにおいて、非常に高いE-E-A-Tを持つと考えられる。

Google 検索品質評価ガイドライン 2023年12月版4 P67
Google 検索品質評価ガイドライン 2023年12月版 P67

専門性と経験の違い

企業ブログや職業人のブログでは、プロフェッショナルとしての専門性や権威性が問われます。一方、一般の個人のブログでは、その人ならではの人生経験や実体験の豊かさが問われます。なおE-E-A-Tの文脈では多くの場合、職業上の経験は専門性の一部であり、単に経験という場合、一個人としての人生経験や実体験を指しています。

  • 専門性 – 客観的な知識や技能。問「橋の耐荷重を算出せよ」
  • 経験 – 主観的で個人的。 問「人を愛するのはどんな気分?」
Google 検索品質評価ガイドライン 2023年12月版 P82

経験豊富な個人が有利になるケース

人生経験や実体験は生身の人間の経験です。人生経験や実体験を反映したコンテンツは、企業ブログでは簡単には表現できません。個人ブログならではの強力な武器です。ここでE-E-A-Tの概念図を用いて、企業ブログと個人ブログの棲み分けを整理します。

個人はE-E-A-Tのうち経験を重視することで信頼を形成していく

企業や職業人のブログではプロフェッショナルとしての専門性と権威性を重視し、個人のブログでは個人的な経験を重視することで、それぞれのブログのE-E-A-Tを高めることができ、SEOを効果的に進めることができます。個人ブログなら、信頼を形成するために経験が主要な要素となるトピックを意識的に選択していくべきでしょう。

生身の人間の意見や視点や経験を求める検索

経験が信頼を形成する主要な要素となるケースのひとつは「生身の人間の意見や経験を知りたいとき」です。「唯一の正解」といえる答えが存在せず、人々の多様な意見や視点や経験が参考になるような検索をするとき、そうしたものを提供している個人ブログは高く評価されます。

唯一の正解といえるものがない検索で、生身の人間の意見、視点、経験を提供している。

Google 検索品質評価ガイドライン 2023年12月版 P111
Google 検索品質評価ガイドライン 2023年12月版 P111

多様な答えが提供されることが有益な検索

検索結果の多様性が有益で役立つ検索もあります。こうした検索においては、多様なコンテンツ著者による多様な経験や意見や視点からのコンテンツは、それぞれ有益で役立つものとして高く評価されます。このような検索クエリの例として、Googleは検索品質評価ガイドラインで次のようなものを挙げています。

  • 経験、意見、視点を求めるクエリ。「犬を飼うべきか」「愛とはどのようなものか」など。
  • 主観的なクエリ。「ランニングに最適な音楽」など
  • 多くの種類の選択肢を発見するためのクエリ。「バスルーム改修のアイデア」「黒いスーツ」「安い婚約指輪」など。
  • 唯一の正解がないクエリ。「上司に昇給を要求する方法」など。
Google 検索品質評価ガイドライン 2023年12月版 P138
Google 検索品質評価ガイドライン 2023年12月版 P138

YMYL領域で体験談を共有するケース

YMYL領域に属するトピックであっても、実体験を共有することを目的に作られたページであれば、その実体験によって、専門性は高くなくても高いE-E-A-Tを持つことができるケースもあります。内容が信頼でき、安全で、確立された専門家のコンセンサスと一致するのであれば、YMYL領域のトピックであったとしても、実体験は高いE-E-A-Tを持つのです。

YMYLのトピックのページは、個人的な経験を共有するために作られることもある。人々は必要な時に、自分の経験を分かち合い、慰めやインスピレーションを求め、他の人から学ぶために、お互いを頼るのである。

YMYLトピックについて実体験を共有するページは、内容が信頼でき、安全で、確立された専門家のコンセンサスと一致する限り、高いE-E-A-Tを持つと考えられる。

Google 検索品質評価ガイドライン 2023年12月版 P28
Google 検索品質評価ガイドライン 2023年12月版 P28

個人ブログに求められるコンテンツ

Google検索品質評価ガイドラインでは、ウェブに公開されるコンテンツには目的があり、それをよりよく達成できるものほど品質が高いとされます。その目的の達成においても、重視されるのはコンテンツ作成者の「経験」です。豊富な実体験や人生経験を持つコンテンツ作者ほど信頼に足るコンテンツを作成でき、コンテンツは目的を達成します。

コンテンツの多くは、個人的な経験を十分に持った人が作成することで信頼性が高まり、その目的を十分に達成できる。例えば、個人的にその製品を使ったことのある人の製品レビューと、そうでない人のレビュー、あなたはどちらを信用するだろうか?

Google 検索品質評価ガイドライン 2023年12月版 P26
Google 検索品質評価ガイドライン 2023年12月版 P26

Googleは訪問者にとって有用で有益なコンテンツを評価します。SEOで望ましい結果を出したい場合、コンテンツはこれに沿っている必要があります。Google検索セントラルの記事には次のような説明があり、コンテンツを作成する目的は「人々の役に立つこと」であるといいます。

そもそもなぜコンテンツを作成したのでしょうか。その答えは、主として人々の役に立つコンテンツを作成すること、サイトを直接訪れた人々にとって有用なコンテンツを作成することであるべきです。

有用で信頼性の高い、ユーザーを第一に考えたコンテンツの作成 | Google 検索セントラル5

では個人のブログにとって、有用で有益なコンテンツを作成するための具体的な目的とはどのようなものでしょうか? これについての例が検索品質評価ガイドラインに例がありますので、個人ブログに反映させるべき個人の経験や体験と関係の深そうなものを抜粋して紹介します。

一般的に有用または有益なページの目的には、以下のようなものがある(ただしこれらに限定しない)。

  • あるトピックについて、個人的な経験、視点、感情を共有すること。
  • 個人的な才能や技能を披露すること。
  • 意見や視点を届けること。
Google 検索品質評価ガイドライン 2023年12月版 P10
Google 検索品質評価ガイドライン 2023年12月版 P10

ここまでをふまえ、個人に求められる「役立つコンテンツ」とはどのようなものでしょうか? SEOの実施において、企業ブログでは高評価を得にくく、個人ブログだけが高評価を得やすいコンテンツとは、コンテンツ制作者の個人的な実体験や人生経験を含むコンテンツです。これらを中心にコンテンツを組み立てることで、個人ブログのSEOは効率的になるでしょう。

まとめ

個人ブログのSEOで重要なポイントは個人の経験です。個人的な実体験や人生経験を反映させることで、記事は有用で有益なものになります。何か問題や課題や悩みがあり、それを解消するために買った商品を紹介する記事(多くはアフィリエイト記事でしょう)を書くとしましょう。そのとき、以下のような軌跡は記事に盛り込まれているでしょうか?

  • 現状分析 – 抱えている問題や課題や悩みは具体的にどんなものか? それまでの経緯や現在の具体的な状況はどのようなものか? その状況にどれほど困っているか?
  • 調査と調査結果 – 解決策にはどんなものがあり、それぞれの解決策の適合条件、利点や欠点、金銭的・労力的・時間的コストはどうか?
  • 比較検討と意思決定要因 – 最終的に選択した解決策はどんなもので、それを選択した決め手は何だったか? その選択は満足のいくものだったか?
  • 実体験と評価 – その解決策で当初の問題や課題や悩みはどの程度解決したか? その難易度や満足度どうだったか?

上記のような情報を欠いた記事をどれほど作ったとしても、あなたのページの有用性は低く、SEOはうまくいかないでしょう。経験や実体験からもたらされるあなた固有の情報がなく、すでにどこかにある情報を寄せ集めただけのコンテンツなら、あなたでなくても作ることができます。あなたのコンテンツを上位に表示する意味はないでしょう。

読者のためにあなたが記事に付け加えることのできる付加価値は、あなた自身の体験です。調べたことや考えたこと、決めたこと、やってみたこと、その結果に感じたこと、新たに生じた課題など、あなたの体験そのものが付加価値です。もしいま個人サイトのSEOに課題を感じているなら「経験」を軸に内容を見直してみるといいでしょう。

脚注

  1. Google 検索品質評価ガイドライン 2022年12月版(英語)PDF ↩︎
  2. 品質評価ガイドラインの最新情報: E-A-T に Experience の E を追加 | Google 検索セントラル ブログ ↩︎
  3. Creating helpful, reliable, people-first content | Google Search Central ↩︎
  4. Google 検索品質評価ガイドライン 2023年12月版(英語)PDF ↩︎
  5. 有用で信頼性の高い、ユーザーを第一に考えたコンテンツの作成 | Google 検索セントラル ↩︎