SEOの本質はわかりやすく正確に「検索者の質問に答える」こと

SEOの本質はわかりやすく正確に「検索者の質問に答える」こと

SEOとは、検索者の質問に対する回答となるコンテンツを発信し、検索を通じて検索者に届けることです。「検索者の質問に答える」ことに本質があり、その回答の有用性や信頼性、正確性が高くなれば、またコンテンツとして提供している回答の数が多くなれば、それだけ多くの検索トラフィックを集めることができます。

質問に対する答えの提供

SEOとは英語の Search Engine Optimization の頭文字をとった略語であり、日本語では「検索エンジン最適化」となります。これをわかりやすく説明するなら、SEOとは、検索者の質問に対する回答となるコンテンツを発信し、検索を通じて検索者に届けることです。ごくシンプルにまとめると次のようになります。

検索とは
検索エンジンに質問すること。
SEOとは
質問に対する答えを提供すること。

SEOに必要なのは検索者の視点です。情報を探索している検索者は、解決すべき何かしらの課題や問題を抱えていて、それを解決する助けとなる情報を求めています。自社サイトのSEOに自分で取り組む場合であれば、自社の事業領域に関連する質問に対して、プロとして正確にわかりやすく回答することがSEOの基本です。

  • 質問を想像する
  • 回答を提供する

SEOに必要なことの本質は上記の2点です。検索エンジンに好まれるページとは、検索者が探している答えがあるページです[1]。そのページに答えがないなら、またはその答えが不正確だったり不十分だったりするなら、そのページが検索結果に表示される価値はありません。検索者にとって価値がないからです。

回答の質と量

検索者の質問に対する答えを掲載するというこの単純なことが、SEOの第一歩であり、ほぼすべてです。サイト内に蓄積されている回答の質と量を向上させれば、それにともなって検索からの流入はどんどん増えていきます。そして回答の質と量を向上させるために考えるべきことは、大まかには次の3点です。

SEOが難しくなるのは、質問を想像する能力がない場合や、回答を提供する能力がない場合だけです。つまり、外部の制作業者やSEO業者に任せきりにしたり、内製でも若手社員に任せきりにするような場合がそれに該当します。質問を予測する能力も回答する能力も十分でないために、SEOが難しくなるのです。

ユーザーの関心を洞察する

SEOの作業は、検索者の問いを予測し、それに対して先回りして答えることを通じて、検索者がサイトを訪問する理由となるコンテンツを提供することです。このとき必要なことは、検索者が検索を実施する以前の関心と文脈に目を向けることです。検索者は何らかの課題や問題、悩みごとや困りごとに直面していて、疑問を抱いて検索します。

検索者の関心事はあなたの製品やサービスではないことに注意してください。検索者の関心は、検索者自身が抱えている課題、問題、悩み、困りごと、およびそれらに関連した疑問にあります。そして検索者が検索結果に求めているものは、自分自身の課題や困りごとに対する詳しい情報と解決策です。特定の製品やサービスの案内ではありません。

検索者の関心にフォーカスし、解決策をコンテンツにすることで、サイトに必要なもののうち短期のコンバージョン以外のすべてが手に入ります。SEOは短期のコンバージョン獲得は苦手ですが、その部分はリスティング広告に担当させることができます。SEOでは、ただ検索者の質問に答えて解決策を提示するだけでいいのです。

検索の進化とSEO

2016年頃までの検索エンジンが「検索キーワードと一致するページ」を返していたことを覚えている人も多いことでしょう。その頃のウェブ検索エンジンは、全文検索エンジンの一種だったと言えます。しかしその後、検索エンジンのアルゴリズムは進化を続け、今では「検索者の質問に答える回答エンジン」になりつつあります。

ここで注意したいことは、検索者の質問に答えないコンテンツは検索結果に表示されにくいことです。以前であれば検索結果によく表示されたエッセイや日記のような記事を検索結果に露出することは、現在では非常に困難です。検索エンジンからの集客を期待するコンテンツは、検索者の質問に答えるものである必要があります。

しかしこうした進化によってSEOは、より単純に、より容易なものへと変化たとも言えます。なぜなら、こうした進化が進めば進むほど、私たちは検索エンジンではなく人間のユーザーに対して高品質で役立つコンテンツを作ることに集中でき、そこに費やした知識や専門性や労力が正当に評価されるからです。

検索意図と実装は無関係

これだけ検索エンジンの性能が向上した今もまだ「SEOに有利なCMSは?」のような話題が定期的に持ち上がります。これはCMSやテンプレートやプラグインの選択が検索結果において有意な差を生むと考える人が今でも一定数存在することを示していますが、まったくおかしなことです。

CMSやプラグインを選ぶことは誰にでもできることです。そのように、誰もが同じものを選ぶことができ、誰もが同じように設定することができるようなことは、有意な差を生むものではありません。マークアップの最適化などについても同じことですが、検索意図との関連性という意味では、実装は本質的な差にならないのです。

自分自身が検索者の立場になって、または検索エンジンの立場になって考えれば自明のことですが、どのCMSやテンプレートやプラグインや実装技術で運用するかといったことは、検索体験を豊かにすることに対して何ら寄与しません。検索意図にもその充足にも関係がないからです。

実装上の細かなことは、検索エンジンの性能が向上するに従って、有意な差を生むものではなくなってきました。その傾向は今後も続くでしょう。そうした有意な差を生まないことに手間や時間をかけるのは、サイト運営者として賢いことではありません。

有意な差を生む施策

では有意な差になるものは何か、ということですが、それこそがこの記事の冒頭から述べてきた「検索者の質問に対する答え」です。答えの品質は有意な差になりますし、量もまた同様に差になります。差を生むことをまとめると、次のようになるでしょう。

  • 知識の深さ – その質問のテーマについて熟知している人物による回答と、無知な人物による回答では、品質に有意な差が生まれます。
  • かけた手間 – 回答をより正確でわかりやすく丁寧なものにするために投入した手間の多寡は、品質に有意な差を生みます。
  • 回答の量 – より多くの質問に答えれば、それだけ多くの検索者の目に触れることができ、回答の少ないサイトに対して有意な差を生むことができます。

同じ時間と手間をかけるのであれば、より大きな差を生むことを優先して取り組むべきです。小さな差しか生まないことに時間や手間を投入すれば、結果もそれに応じて小さなものにしかなりません。しかし大きな差を生むことに注力すれば、大きな結果を手にすることができます。

検索者の意図に注意深く思いを巡らせ、知識を総動員して回答することの繰り返しが、大きな差を生むSEOであり、プラスの価値を付け加えていく日々の取り組みとなるものです。この基本を確実に実施していくことを忘れるべきではありません。

検索を機会と考える

検索は重要な機会です。検索者と出会える機会であり、価値を提供できる機会であり、選ばれる機会です。たった1回の訪問でも、検索者とサイト運営者の両方にとってその瞬間は二度と取り戻せない一度きりのものであり、その機会を逃さないようにしなければなりません。

  • すべての検索には検索者の期待がこもっていることを重大に受け止め、その期待を裏切らないコンテンツの提供に注力する。
  • スマートデバイスの普及によって検索の機会や文脈が広がった[2]ことを受け、それに応じたより幅広い情報を用意する。
  • 検索結果に表示される他のどのページよりも優れた利用体験を提供することで、検索者からの信頼を勝ち取る。

機会をものにするためには、全身全霊と持てる能力のすべてを尽くしておもてなしに取り組む必要があります。アクセス解析で見ればただの1訪問に過ぎないものも、期待に応え信頼を勝ち取るか、期待を裏切り信頼を失うかを分ける重要な一期一会の瞬間です。

まとめ

その情報を本当に求めている人であれば、検索を繰り返して必ずその情報にたどり着いてくれます。検索からの流入を増やすことは簡単です。その情報を必要とする誰かに向けて情報を発信するだけす。情報を求める人々は検索エンジンを繰り返し使って、その情報を探し当ててくれます。

  • 人々は検索エンジンを使って情報を探しています。その情報を公開すれば、それは人々に届きます。
  • 公開する情報がより有益で高品質なものなら、それは検索され、共有され、リンクされ、検索結果のランキングも上昇し、さらにより多くの人々に届きます。
  • あなたの情報が役に立ったというその事実の積み重ねによって、ユーザーとの間に信頼関係が生まれます。その信頼関係が明日の売上げを作ります。これはオフラインでの接客や営業と何ら変わりません。

最終的に欲しいものはコンバージョンです。しかしコンバージョンを獲得したいのであれば、その前に信頼を獲得しなければなりません。信頼を獲得したいのであれば、その前に接点を獲得しなければなりません。接点や信頼の獲得のためにウェブ上でできることは、ユーザーの質問に対する役立つ回答の発信です。

SEOは簡単です。きちんと取り組めば必ず結果はついてきます。しかし時間と手間がかかります。お客様を想い、お客様に貢献したいと望む強い気持ちが必要です。誠意と熱意、そしてそれを継続する根気が必要です。しかしそれらは日々の取り組みを通じてウェブ上に立ち現れ、お客様の心を動かします。